密室を開ける手

講談社文庫　ふ４８ー１０

講談社
藤本ひとみ　

• 価格: 759円（本体690円＋税）
• 発行年月: 2022年12月
• 判型: 文庫
• ISBN: 9784065302583

内容情報

[BOOKデータベースより]

祖父が死んだ。葬儀当日、上杉和典はクリーニング店に出した父の衣類に大量の血痕が付着していたことを知る。頻繁に長崎へ赴く父を不審に思うなか、そこが祖父の出身地で、幼いころ自らも訪れていたことを思い出す。よみがえる記憶を追い始める和典は、隠された過去を解く鍵を見つけることができるのか？

[日販商品データベースより]

祖父が死んだ――疎遠だった和典は、葬儀当日も通学し参列しなかった。そんな時、母親から父親のクリーニングを取りに行ってほしいと頼まれる。面倒と感じつつも葬儀に参列しなかった引け目から、しぶしぶその役目を引き受けた和典。品物を引き取る際に、店員から依頼はなかったがシミ抜きをしておいたという伝言を受ける。そのシミは大部分にわたる血痕だった――。父親は血を浴びるようなことをしたのか、ととたんに不安になり思いを巡らせる中、母親から最近父親が頻繁に長崎に行くようになり、絶対に女がいるに違いないとヒステリックに話していたことに思い至る。本当にそうなのだろうか？　そして父親が通っているという長崎は、偶然にも祖父の出身地であることに気が付いた。何かがある――そう直観した和典は、調査にのりだす。そしてだんだんと分かってきたことは、祖父が戦時中叶えられなかったある強い想いがあるということだった。