[BOOKデータベースより]
1974年4月20日、東京国立博物館で開催された『モナ・リザ展』一般公開初日。「人類の至宝」と称されるこの絵画に、一人の女性が赤いスプレー塗料を噴射した。女性の名前は米津知子。当時25歳。「女性解放」を掲げたウーマン・リブの運動家だった。なぜ、彼女はこのような行動に及んだのか。女として、障害者として、差別の被害と加害の狭間を彷徨いながら、その苦しみを「わたしごと」として生きるひとりの、輝きの足跡。
1章 恩情と締め出し―『モナ・リザ展』と障害者
2章 道徳律の思春期―補装具とストッキング
3章 バリケードの青春―大学闘争と美共闘
4章 女たちの叛乱―ウーマン・リブの誕生
5章 草原の裸体―リブ合宿開催
6章 拠点の旗揚げ―リブ新宿センター開設
7章 産むか産まぬかは女が決める―優生保護法改悪阻止闘争
8章 女への不信―怒れる障害者たち
9章 惨めなわたし―車椅子と歩道橋
10章 わたしに罪はない―裁判闘争
その人は『モナ・リザ』にスプレーを噴射した。
理由を知るには人生を語る覚悟がいる。
1974年4月20日、東京国立博物館で開催された「モナ・リザ展」一般公開初日。人類の至宝と称される絵画「モナ・リザ」(レオナルド・ダ・ヴィンチ作)に、一人の女性が赤いスプレー塗料を噴射した。女性の名前は米津知子。当時25歳。「女性解放」を掲げたウーマン・リブの運動家だった。取り調べのために連行される警察車両の中で、彼女はクスクス笑いが込み上げていた。極度の緊張と、やっと落とし前をつけられたうれしさの中で。女として、障害者として、差別の被害と加害の狭間を彷徨いながら、その苦しみを「わたしごと」として生きるひとりの、輝きの足跡。
「第15回(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」受賞後初の書き下ろし作品!