[BOOKデータベースより]
第1部 フロイトとスピノザ(フロイトの8通のスピノザ書簡の分析;フロイトのレオナルド・ダ・ヴィンチ論におけるスピノザについて;ハイネのスピノザ主義とフロイト ほか)
第2部 スピノザと現代の政治思想(帝国とナショナリズム―ネグリ=ハートの『マルチチュード』とスピノザ;貧と愛のリアリズム―ネグリ=ハートの『コモンウェルス』とスピノザ;スピノザと現実主義国際政治学 ほか)
第3部 レオ・シュトラウスのスピノザ解釈の批判的検討―『スピノザの宗教批判』(1930年)第9章「国家と宗教の社会的機能」の注釈的研究(スピノザ『政治論』の現実主義の特殊性;スピノザとホッブズの政治哲学における国家成立の問題とその哲学的基礎について;スピノザ政治哲学における大衆と賢者の間の深淵について)
" 本書は、前著『存在・感情・政治−スピノザへの政治心理学的接近−』(関西大学出版部,2013年)の続編で、前著でのスピノザ哲学解釈の成果を適用して、主にハイネ、フロイト、ネグリ、シュトラウスという時代も思想も異なる4人の思想家達(2つの補論においてはゲーテとドゥルーズも対象としている)がスピノザから受けた影響及び、彼らがスピノザ哲学をどのように解釈したかという問題を批判的に分析・研究している。
本書の構成は以下の通りである。
第1部 フロイトとスピノザ(ハイネとゲーテのスピノザ解釈研究も含む)
第2部 スピノザと現代の政治思想(ネグリ、国際政治学、ドゥルーズのスピノザ解釈研究も含む)
第3部 レオ・シュトラウスのスピノザ解釈の批判的検討─『スピノザの宗教批判』(1930年)第9章「国家と宗教の社会的機能」の注釈的研究
第1部では、フロイトがスピノザ哲学から受けた影響と両者の思想内容じたいの比較研究(コナトゥスとリビドー、無意識、決定論)を行っている。そこではあまり知られていないフロイトのスピノザ書簡、つまりフロイトが10代の頃に親友に書いた書簡や後年家族へ宛てた書簡に含まれるスピノザへの言及も含めて、フロイトの8通のスピノザ書簡と2著作におけるスピノザ言及を詳細に分析している。なお第1部で本書全体の半分の分量(310頁)。
第2部では、現代の政治思想とスピノザの関係について論じている。ネグリ(=ハート)がスピノザ哲学から大きな影響を受けていることはよく知られている。この第2部では、ネグリがスピノザ哲学のどこから影響を受けたのかという問題と、彼が強引な独自の解釈を行ってしまっている問題を共に考究している。またこの第2部では、現代の「現実主義国際政治学」の理論家達が、実はスピノザから大きな影響を受けていたという研究やドゥルーズのスピノザ解釈についての予備的研究も併せて行っている。
第3部では、レオ・シュトラウスの処女作『スピノザの宗教批判』(1930年)の第9章「国家と宗教の社会的機能」を注釈的に研究している。シュトラウスもスピノザから大きな影響を受けたことが広く知られているが、彼のスピノザ論として最も纏まった内容を成している−というよりも彼の唯一のスピノザ政治哲学論と言っていい―この第9章を、スピノザ研究の立場から厳密かつ詳細に分析・研究するということがこれまでに行われなかった。シュトラウスのような独特の著述スタイルとそれと連動した思想を採る思想家の場合、からその思想を見て論じるのではなく、そのテクストを一言一句揺るがせにせず、批判的視点から丁寧に注釈(コメンタール)することによってしか、そのスピノザ解釈の真偽も、そこに見え隠れする思想家自身の真意も見えてこないという観点から、まずシュトラウスのテクストの拙訳を独立引用として掲げ、続いてその引用内容に対する私の注釈(コメンタール)を行
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