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[BOOKデータベースより]
初の“太田省吾”論!“沈黙劇”と呼ばれる独自の舞台を生み出し、今も、世界で高く評価される太田演劇。その劇宇宙の全貌を、初めて論ずる。生前の本人との対談も収録。
第1部 太田省吾の“ゆっくりの美学”(太田省吾のために;太田省吾の「希望」 ほか)
[日販商品データベースより]第2部 太田省吾との対話―根源に向かう思考(太田省吾と沈黙の演劇;根源に向かう演劇―虚と実のバランス ほか)
第3部 最後の芸術家―太田省吾の仕事(最後の芸術家;「沖縄」―太田省吾の戯曲作品から ほか)
第4部 太田省吾の闘い―転形劇場解散後の活動(不機嫌な時代を乗り切るために;エロスへのまなざし ほか)
第5部 劇評/書評(劇評『小町風伝』―“聖”へ向かう身体と空間;劇評『抱擁ワルツ』―腐朽する夢の時間 ほか)
付録
初の〈太田省吾〉論!
沈黙劇 と呼ばれる独自の舞台を生み出し、今も、世界で高く評価される太田演劇。その劇宇宙の全貌を、初めて論ずる。生前の本人との対談も収録。
太田省吾は、なぜ「沈黙劇」に至り着いたのか――。
言葉を失い、動きが緩慢になり、何もかも奪われてしまう過程で、すべてを奪い尽くされた地点、つまり死者の視線から、現在を見返すこと、そこに「希望」や「未来」を見ようとしていたのではないか。
演劇は、人の行為によって、つまり誰か(自分も含めて)を「演じる」ことで、そこに虚構の事象を立ち上がらせる。その力業を、これまで「演劇」と呼びならわしてきた。だが太田は、そうした虚構をつくりださない。自然と人間の関わりに目を凝らし、そこにすでに胚胎している事実を、人間(俳優)のささやかな行為で取り出してくる。それは木の中に本質が宿り、それを削り出すことで露わにする彫刻的発想と似ている。それが太田の虚構を演じない〈劇〉ではないか。
何もないこと、それは自然の景観と同義だ。その巨大な自然と相まみえることで、人間の中に〈劇〉が生まれる。それをわたしは、太田省吾の劇宇宙と呼びたい。この〈劇〉を浮上させる仕掛けが「ゆっくりの美学」である。