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[BOOKデータベースより]
この世界に生きる全ての人は、空の上に自分だけの星がある。少女の病気を治すために、世界の果ての島に住む火守のもとを訪れたサシャ。独り火を守る老人は、星の位置が記された本を持つという。サシャは天に昇る代わりに、火守の仕事を受け継ぐことを誓うが―。中国SF『三体』の劉慈欣が贈る物語絵本。
[日販商品データベースより]人はそれぞれの星を持っている。病気の少女のため、地の果てに棲む火守の許を訪れたサシャは、火守の老人と共に少女の星を探す過酷な旅に出る−−。世界的SF作家が放つ、心に沁みるハートウォーミングストーリー。
(本文より)サシャは東の孤島に立っていた。彼をこの世界の果てに放り出した帆船が、海と空の境界線に消えていく。最東端の島は、海に露出した錆さびた鉄片のようだった。周囲には命の気配すらない。
サシャは島の奥に向かって歩き出した。何日も船酔いに苦しみ、いまだに足下がおぼつかなかったが、小さな島は中心に辿たどり着くのもすぐだった。低い丘に、彼を見つめる怪しい目のような黒い穴が開いている。穴の周りには黒い石炭の層があって、ここが炭坑であることを示していた。坑道の側の開けた場所には石窯がそびえ立ち、見たこともないほど大きな鉄鍋が載せられている。ひっくり返せば、サシャが今まで見た中で一番大きな屋根にもなりそうだ。
といっても、サシャはこれまで遠出をしたことがなかった。大きな家を目したことだってない。ヒオリと恋に落ちたサシャにとって、大事なのは世界を見ることではなかった。だけど、彼は意を決し、彼女のために世界の最果てまで旅をしてきた。
石窯の火は消え、巨大な鉄鍋から独特の油臭いにおいが立ち上り、辺りに漂っている。