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[BOOKデータベースより]
伊勢参りから修学旅行、団体参拝、社員旅行、グループ旅行に至るまで、文献資料や丹念な聞き取り調査を手がかりに、旅行スタイルの変化と成熟を多角的に考察。団体旅行の系譜を観光文化史のなかに位置づける。
1 お参りの旅(伊勢参りとおかげ参り;元祖旅行業としての御師;伊勢参宮から全国周遊へ ほか)
[日販商品データベースより]2 学びの旅(通過儀礼としての旅;修学旅行のあけぼの;参宮と修学旅行 ほか)
3 親睦の旅(戦後復興と団体旅行;海外旅行の大衆化;新婚旅行とアンノン族 ほか)
団体旅行と聞くと、旗を持った添乗員に連れられた、主体性のない旅行者の集団、といったイメージが思い浮かぶ。
近年の観光学もまた団体旅行に対してはネガティブな評価をしがちで、団体旅行の発達によって「旅行のワンパターン化」ないし「旅行の画一化」が拡大されたといった言説が目立つ。
しかしながら、団体旅行の発展によって、誰もが安全に旅ができる「旅の大衆化」が進んだこともたしかであり、むしろ肯定的にとらえることもできよう。旅行機会そのものがまだ少なかった時代にあって、旅が体験できる貴重な手段でもあったのである。
一方で、団体旅行の発展は、交通網の整備、宿や食事の提供といった旅を支える諸条件はもちろん、旅人と旅先とを結びつける仲介者を必要とし、同時代の社会の変化と密接な関係にある。
そもそも、現代の多様化した旅も、こうした団体旅行のノウハウと経験の積み重ねを応用することで成り立っている。こうした点もまた、これまで十分に検討されてきたとは言えず、あらためて考察する意義があろう。
本書では、日本社会に団体旅行が定着していく過程を時代背景とともに読み解き、団体旅行の発展を日本の観光文化史のなかに位置づける。