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[BOOKデータベースより]
イスラーム用語の正しい理解のために。ムスリム用語の我が国における受容、翻訳・理解の妥当性、ニュアンスを検討し、その今後を展望する画期的論考。
第1章 「アッラー」について
[日販商品データベースより]第2章 イスラームに「聖」概念のないこと
第3章 タウヒード(単一性)・シルク(並置)関連
第4章 ラフマ(慈悲)・アドル(正義)関連
第5章 サキーナ(静穏)・フィトラ(天性)関連
第6章 ルーフ(魂)・ナフス(精神)関連
第7章 サッバハ(賛美)・ハムド(称賛)関連
第8章 マスジド(礼拝所)・ハッジ(巡礼)・ジャンナ(天国)関連
イスラームと日本の付き合いは、ようやく一〇〇年を越えた。その間、例えば「予言者」は「預言者」と書き改められた。前者は予告をするのが役目とすれば、後者は神から啓示を預かることが使命なので、両者は全く異質なものである。そうすると、予言者とした人は原語の「ナビー」という用語の誤訳をしたというよりは、そもそも大きな誤解を犯していたのかも知れない。言葉は慎重に選ばれる権利を有しているとも表現できるだろう。
異文化を語るときには、これと同類の問題は常に存在してきたし、これからも常にはびこる問題である。だからこそ「異文化」なのだ。ただしそれは、常に注意深く精査して、整理整頓する必要がある。これも一般的には、誰しもがうなずける課題であろう。
そこで本書はまだまだ新しい宗教であるイスラームの、基本的な用語に関する精査と様々な提案を目的としてまとめたものである。その中には新たな用語である「静穏」といった場合には、その広範な意味合いを確定することが課題となる。あるいはしきりに使用される「聖」という用語については、それはイスラームでは受け入れられないものであることを明らかにすることが課題となる。こうして具体的な課題はその用語によって異なっている。
ただしアッラーは怒りの神ではないことや、イスラームの二大価値は慈悲と正義であることなど、全体としてイスラームのイメージも更新されることが期待される。その際、「預言者」を導入する時にも直ちには理解が得られなかったように、本書で取り組む課題とその結論についてもすぐに全面的な賛同を得るとは限らず、関係者の賛否両論があるかも知れない。しかしそのような議論の喚起自体も本書の想定内の事態であり、したがって広義の目的に入るものである。
時代は新型コロナ感染症に揺れ動いてきた。しかしその中でも足元を見つめ直すような地味な尽力が、日本におけるイスラームの、そしてまだ耳目に新しい文化の正しい姿への接近に資することがあればと願い、本書を刊行する。