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[BOOKデータベースより]
ロシアにおけるドストエフスキーの文学、パリにおける絵画の爆発的開花、ドイツにおける歴史意識の展開。これらはすべて、ひとつながりのものである。19世紀の西洋で起きた精神の根本的変容を意味づけ、その普遍性を把握する果敢な試み。
父殺しの密かな欲望
[日販商品データベースより]墓場の生ける死者たち
分離派の倫理と資本主義の精神
一者は一者ならず
貨幣を殺す
ヘーゲルを通じてドストエフスキーを読む
この女性の裸の身体は美しいのか
絵は何と競っているのか
なぜ何かがあるのか
美からの逃走
「睡蓮」と「山」
注意への注意
存在論的に未完成な共同体
「Anno Domini(主の年)」から「A.D./B.C.」へ
構造と歴史
国民の「起源」
母の欲望
近代には不思議な性質がある。近代はいわば自分自身を否定するのであり、その否定を含めて近代なのだ。その奇妙なメカニズムに迫るため、本書はまずドストエフスキーの小説に挑む。
ドストエフスキーの小説を通じて何が解明されるのか。資本主義のメカニズムである。と、書くとびっくりされるかもしれない。ドストエフスキーの文学と資本主義とはあまり関係がないと思えるからだ。だが、両者のつながりを理解するには、資本主義の本質を理解しておく必要がある。資本主義は一種の宗教である。
資本主義が宗教の一種であるならば、ドストエフスキーの文学を媒介にしてそのメカニズムへと通じる道があっても不思議ではない。考えてみると、ドストエフスキーの小説では登場人物がたいていおカネのことで苦労している。と同時に彼らは絶えず神のことで思い悩んでいるのだ……。
小説同様に資本主義と骨がらみの産物として美術や歴史意識が生まれ、19世紀以降今日にいたるまでわれわれを規定している。その軛からのがれることは可能なのか? 精神の自由を求める認識の冒険はさらに佳境へ!