[BOOKデータベースより]
近年、激動する中国や朝鮮半島との関係をはじめ、周辺の国際情勢を背景にしつつ、東アジアをめぐる漢文訓読、歴史文化、宗教、美術等々の研究もまた活況を呈している。そんな中、説話文学研究はどうあるべきか。中国、朝鮮半島、琉球、ベトナムにおよぶ広範の文化圏から「説話」を考究する、研究の最前線ともいうべき、説話文学会の55周年記念・北京特別大会の記録。
1 説話文学研究の最前線―説話文学会55周年記念・北京特別大会の記録(基調講演「中国仏教と説話文学」;シンポジウム「中国仏教と説話文学」;ラウンドテーブル1「釈氏源流を読む」;ラウンドテーブル2「東アジアの“環境文学”と宗教・言説・説話」)
2 これからの説話文学研究のために(日本文化史と説話研究―戦後歴史学が失ったもの;説話の背後に広がるもの―説話が機能するためには;文学に内包された絵画、あるいはテクストの図像学;鑑真伝記の変容と説話;医事説話と“学説寓言”;見える呪術と見えない占い―説話の故事性を考える;説話研究の地域貢献―「月の兎」説話と地名伝承;ベトナムの説話世界の独自性と多元性―東アジア世界論・単一民族国家論・ナショナリズムを超えて;デジタル時代の研究環境への一提言;説話文学会55周年に思う)
付録 北京所在の遼代の寺院をめぐって―旅のしおり
2018年11月3日〓5日の3日間、北京の中国人民大学(崇徳楼)で開催された説話文学会五十五周年記念・北京特別大会の報告集。
近年著しく進展している東アジア仏教を主とする宗教研究を視野に入れつつ、第一部には、中国仏教に焦点を当てた講演とシンポジウムに加え、『釈氏源流』を事例とするラウンドテーブル、さらなる問題展開として〈環境文学〉を軸に東アジアの宗教言説と説話をめぐるラウンドテーブルを行った学会の様子を完全収録。
第2部は「これからの説話文学研究のために」として、今後の研究への提言として、内外の研究者10名による文章を収録した。
付録として「北京所在の遼代の寺院をめぐって」を掲載。龍泉寺(りゅうせんじ)、大覚寺(だいかくじ)、潭柘寺(たんしゃじ)、天寧寺(てんねいじ)の案内を収録。
説話文学研究は、「説話」の語彙自体が中国の唐宋代には話芸全般を指す用語であり、話芸の専門家は「説話人」と呼ばれていたように、東アジアに共有されていた概念であり、中国、朝鮮半島、琉球、ベトナムにおよぶ広範の文化圏から考究されるべき課題である。本書はそんな説話文学研究の最前線を伝える一冊である。
執筆は、小峯和明、金 文京、石井公成、李 銘敬、馬 駿、小川豊生、小島裕子、野村卓美、渡辺麻里子、陸 晩霞、吉原浩人、周 以量、何 衛紅、劉 暁峰、染谷智幸、樋口大祐、米田真理子、金 英順、グエン・ティ・オワイン、近本謙介、井上 亘、水口幹記、山本聡美、丁 莉、福田安典、マティアス・ハイエク、趙 恩〓、ファム・レ・フィ、楊 暁捷、千本英史、栗野友絵。
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