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[BOOKデータベースより]
強くしなやかな心とは?人生を生き抜く力とは?わが国の認知行動療法の第一人者が自らの半生を振り返って見つけたレジリエンスの養成法!
第1部 私の半生と武道との出会い(人生の本質は「礼」にある;「礼」とは相対する人を尊敬し信頼すること;空手を通して実感した達成感;冷静に自分を見つめる第3の目;成功体験をひとつずつ積み重ねて意欲につなげる;意味なく思える繰り返しの中にある真実;心のしなやかさ)
[日販商品データベースより]第2部 武道を通して「心」を考える(「型」を繰り返す意味;心の持ち方と武道力;ストレスを力にする方法;自然体から学ぶ心の姿勢;心を自由自在にする方法;「不動心」と「不動智」を身につける;核になるものを持ち続けること)
第3部 人生に生かす武道力(残心を大切に生きること;最終的に勝つための方法;思い切って行動するための心構え;行動する時に大切な三つのこと;「肉を切らせて骨を断つ」;「間」を生かすということ;生活に緩急をつけて生きる;自分の弱さを受け止めるということ;お互いに成長していく武道の心;自分を信じ人を信じる)
本書は、月刊「武道」に、二〇一八年一月から二〇一九年十二月にかけて二年間、「人生に生かす武道力」と題して連載した原稿に加筆訂正したものです。月刊「武道」に連載することになったのは、日本経済新聞に毎週連載しているコラムに書いた大学時代の体育会空手部仲間との経験が編集担当の方の目にとまったからです。まず、「武道の可能性」と題して、私が専門にする精神医学やストレス学の立場から武道を人生に生かすコツについて書いたところ、それをきっかけに連載の提案をいただきました。私が空手を始めたのは高校生のときです。肉体的にも精神的にも自信がなく精神的に不安定だった私は、ある日、思い立って町道場に通い始めました。その後、慶應義塾大学医学部時代には、幸いなことに、空手術を空手道にまで高めた船越義珍先生の高弟、小幡功師範の指導を受けることができました。だからといって、私が武道家として空手の道をいくらかでも究めることができたかというと、じつに心もとないかぎりです。そのため、連載の話をいただいたときに、引き受けるかどうか結構迷いました。しかし、私のこれまでの人生を考えると、空手に接したことが私のその後の生き方に大きく影響したことはたしかです。個人的にはもちろんのこと、精神科医としてもずいぶん助けられました。その私の体験を伝えることが役に立つのであればと考えて、最終的に連載の執筆を引き受けることにしました。人間力で最も大事なもののひとつが、人とつながる力だと私は考えています。私たち人間は一人では生きていけません。一人でいると孤独感が強まり、心の力が弱くなってきます。逆に、お互いに助け合うことができれば、最大限に自分の力を発揮できるようになる。武道の稽古は、それぞれが極限まで自分を追いつめていくだけに、そうした行動を一緒にした仲間とのつながりは強くなります。その体験が、その後の人間関係の基礎になるのです。そのことを、私は空手を実践する中で体験的に理解をすることができました。(中略)このように考えると、時代を問わず武道が大切にされてきた理由が見えてきます。武道には、私たちが生きていく中で大切な人間的手がかりが限りなく含まれています。私たちの社会は、短期的な目標に向けての競争がますます激しくなっています。その中で自分を見失うことなく、他の人にも気配りができる人間力が、今まで以上に重要になってきています。その人間力を武道の心から学ぶことができます。武道の可能性は、私たち一人一人の心が持っている可能性でもあり、武道の実践を通してそれをしっかりと自分のものにしていくことができるのです。