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[BOOKデータベースより]
竹内好―それは戦後思想に独自の地歩を占める存在である。中国文学者である彼は、中国が絶対的他者であることへの自覚を失うことなく、日本人として中国を愛し続けた。他者であることを痛切なまでに自覚するがゆえに、日本が中国に恥じるところのないものであるかという懐疑から一生離れることはなかった。そして、同調を強いる日本社会、その社会の頂点にあって個の自立を阻む機能を有する天皇制を見すえながら、戦後日本の差別や隷従を強いる力と闘うためには「我は我だという主体の論理」を立ち上げなければならないとして論陣を張り続けていった。その思想の全体像と彼の生き方は、21世紀の今こそ再注目されなければならないだろう。
第1章 生い立ちから戦争体験へ(一九一〇〜一九四五年)(生い立ちから大阪高校卒業まで;「中国」との出会い;戦中の中国と向きあう ほか)
[日販商品データベースより]第2章 「戦後」からの出発(一九四五〜一九六〇年)(「インテリ」と民衆;翻訳の時代;「個人の独立」と「国民的連帯」)
第3章 「市民的自由」と「民族」(一九六〇〜一九七七年)(方法としてのアジア―丸山眞男との交流のなかで;「不服従の遺産」/日本近代のとらえなおし;『中国』から個人訳『魯迅文集』へ)
竹内好――それは戦後思想に独自の地歩を占める存在である。中国文学者である彼は、中国が絶対的他者であることへの自覚を失うことなく、日本人として中国を愛し続けた。他者であることを痛切なまでに自覚するがゆえに、日本が中国に恥じるところのないものであるかという懐疑から一生離れることはなかった。そして、同調を強いる日本社会、その社会の頂点にあって個の自立を阻む機能を有する天皇制を見すえながら、戦後日本の差別や隷従を強いる力と闘うためには「我は我だという主体の論理」を立ち上げなければならないとして論陣を張り続けていった。その思想の全体像と彼の生き方は、21世紀の今こそ再注目されなければならないだろう。