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[BOOKデータベースより]
仏国土の完全な浄化という序(仏国品第一)
[日販商品データベースより]考えも及ばない巧みなる方便(方便品第二)
声聞と菩薩に見舞い派遣を問う(弟子品第三)
声聞と菩薩に見舞い派遣を問う=続き(菩薩品第四)
病気の慰問(文殊師利問疾品第五)
“考えも及ばない”という解脱の顕現(不思議品第六)
天女(観衆生品第七)
如来の家系(仏道品第八)
不二の法門に入ること(入不二法門品第九)
化作された“菩薩による”食べ物の請来(香積仏品第十)
「尽きることと尽きないこと」という名前の法の施し(菩薩行品第十一)
“極めて楽しいところ”(妙喜)という世界の請来と“不動であるもの”(阿〓(しゅく))という如来との会見(見阿〓(しゅく)仏品第十二)
結論と付嘱(法供養品第十三)
結論と付嘱=続き(嘱累品第十四)
『維摩経』、仏典、サンスクリット語等の研究者・学習者に至便な必備書。
『維摩経』のサンスクリット原典を翻訳する際に著者が作成した、全単語の文法的分析を網羅するとともに、現代語訳と訓読文、詳細な注釈を一書に具える。
名著『梵漢和対照・現代語訳 維摩経』(岩波書店)の完全版。
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本書は、1999年7月にチベットのポタラ宮殿で発見された『維摩経』のサンスクリット語写本を現代語訳する際に作成していた“翻訳ノート”を出版したものである。
翻訳に際しては、@正確を期す、A意訳・深読みをしない、B掛詞も見落とさないで訳出する、C曖昧さを残さない――の四つの原則を自らに課した。
そのために、まず作成したのが“翻訳ノート”であった。それは、サンスクリット原典の全文を一つのセンテンスごとに区切って、すべての単語について品詞を明らかにし、名詞であれば性・数・格、動詞であれば人称・数・態・時制など文法的なことを分析し、連声の仕方、構文の詳細な分析を行ない、そのすべてを文法的特記事項のメモとともに書き残したものである。その文法的分析を踏まえた私の現代語訳が、サンスクリット本文と鳩摩羅什の漢訳書き下し文を対照させて各センテンスごとに並べてある。それを自分で“翻訳ノート”と呼んでいた。
この『維摩経』だけでなく、これに先立って『法華経』を現代語訳する時から、「自分の納得のいく訳を出しなさい」と温かく励まし、見守ってくださっていたのが筑波大学名誉教授の三枝充悳先生(1923〜2010年)であった。各章の現代語訳が終わるたびに、“翻訳ノート”を印刷し、簡易製本しては三枝先生のご自宅に届け、現代語訳の進行状況を報告していた。最終的に、製本された“翻訳ノート”は『法華経』の場合、B5サイズで両面印刷して、厚さ20センチメートル以上、『維摩経』で10センチメートルほどの大部になった。
三枝先生は、それをご覧になって、
「ここまでやってあると、曖昧さがなくなりますね。出版社は、このサンスクリット原文と、植木さんの訳と、漢訳の部分だけを取り出して出版しようとするでしょう。出版社は嫌がるかもしれないけれども、この“翻訳ノート”は、いつか必ず出版して下さい。貴重な資料になります」
とおっしゃった。
こうして、『梵漢和対照・現代語訳 法華経』上・下巻(岩波書店)を2008年に、『梵漢和対照・現代語訳 維摩経』(同)は、三枝先生が亡くなられた翌年の2011年に出版することができた。三枝先生のおっしゃった通り、文法的な分析の部分はすべてカットされたが、それぞれ、毎日出版文化賞とパピルス賞を受賞することができた。それぞれ、2019年4月現在で12刷と、4刷に及んでいる。
(「はしがき」より抜粋)
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