- 新生児マス・スクリーニングの歴史
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- 価格
- 2,860円(本体2,600円+税)
- 発行年月
- 2019年09月
- 判型
- 四六判
- ISBN
- 9784903127286
[BOOKデータベースより]
新生児マス・スクリーニングとは、赤ちゃんに先天的な疾患があるかどうかを検査し、治療する医療事業のことである。現在、ほとんどの新生児が、この検査を受けている。しかし、もし子どもに疾患があった場合、その親は、疾患の遺伝情報の保因者として、疾患をもつ子を再び産むリスクのあるひとだと見なされる現実もある。子どもの検査とされながらも、親の遺伝情報の管理=出生防止としても機能してきた歴史を明らかにする。
序章 この本について、背景について
第1章 新生児マス・スクリーニングはどのように始まったのか
第2章 新生児マス・スクリーニングと特殊ミルク
第3章 新生児マス・スクリーニング、出生前診断、そしてDNA診断へ
第4章 新生児マス・スクリーニングへの抗議
第5章 タンデムマス法はどのように導入されたのか
終章 親の遺伝情報の検査
自分の、相手の、遺伝情報を知ったとき……、
子どもを、産んでほしい? 産みたい?
「新生児マス・スクリーニングとは、子どもを対象とした、その疾患の早期発見・早期治療を目的とする医療事業・制度であると、ひとまずはいえるかもしれません。また、新生児マス・スクリーニングについての従来からの一般的認識も、これと大きく違ったものではないでしょう。
しかし、この本では、この一般的認識に対して、疾患の遺伝子情報をもつ保因者である親を検出し特定する検査(遺伝学的検査)という視点から、新生児マス・スクリーニングの内実をあらためて考察します。
この遺伝学的検査という、いわば今までは影であった部分に照明をあてることによって、別の現実を、ほんのわずかかもしれませんが、追体験することができるのではないかと思っています――つまり、検査で子どもに疾患があると分かった場合、その親は、疾患の遺伝情報の保因者として、疾患をもつ子どもをふたたび産む「恐れ(リスク)のある」存在とみなされるという現実です。
新生児マス・スクリーニングの進展と普及は、子どもの検査とされながらも、同時に、親の遺伝情報の検査としても機能してきた歴史でもあります。その歩みの一端を、本書において、遺伝学的検査としての新生児マス・スクリーニングという視点から、少しでも明らかにできればと、そう強く思っています。」―― 本書の「序章」より。