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[BOOKデータベースより]
ハリウッド映画に強く魅せられた若き日の小津はどのように自身の映画表現を発展させたのか―ハリウッド作品との比較、ヨーロッパ前衛映画論への参照から、初期小津作品の映画的達成を検証する野心的な試み。
序論 小津とサイレント映画の地平
[日販商品データベースより]第1部 ローカルな文脈(小津映画の起源―一九二〇年代後半日本のハリウッド映画受容;近代による征服―松竹蒲田撮影所と監督たち)
第2部 グローバルな文脈(フォトジェニー的宙吊り―ルビッチ映画の“動き”について;はかない事物―ヴァナキュラー・モダニズムとしての小津サイレント映画)
第3部 “動き”と“明るさ”の美学を超えて(小市民映画の限界―岩崎昶の批判;一九三四年以降の小津―トーキーへ、さらにトーキー以降)
小津映画の起源とは何か?
本書は小津安二郎のサイレント作品を、ハリウッド映画の影響およびサイレント映画美学という観点から検証する。小津は、『晩春』や『東京物語』に代表される戦後作品を中心に、家族の悲哀を繰り返し描いた日本映画の巨匠として名高い。しかし、戦間期にはハリウッド映画の強い影響のもと、『東京の合唱』、『生れてはみたけれど』、『東京の女』、『非常線の女』、『出来ごころ』など、サイレント映画の傑作を多数生みだしている。これらの初期作品における小津の実践とはいかなるものだったのか。
小津はエルンスト・ルビッチやジョセフ・フォン・スタンバーグといった映画監督の作品を編集や演出の水準で模倣しながら、〈明るさ〉を表現するハリウッド映画の〈動き〉を再現しようとした。ハリウッド映画の美学に忠実であることで、自身の映画スタイルを練り上げたのである。
本書では、小津が模倣したハリウッド映画作品との比較、さらには同時代のヨーロッパ前衛映画論(ジャン・エプスタイン、ジークフリート・クラカウアー、ジガ・ヴェルトフなど)への参照をとおして、初期小津の映画的達成を明らかにする。