[BOOKデータベースより]
むしめづる人々―宇宙の豪奢を覗き見る小さな窓
『百蟲譜』―虫の日本文学・文化総説
トンボ―日本の勝虫、西洋の悪魔
ハエとカ―文武文武と夜も眠れず
スカラベ・サクレ―太陽神の化身
ホタル―鳴かぬ蛍が身を焦がす
ハンミョウとツチハンミョウ―毒殺の虫
マツムシ・スズムシ・コオロギ―暗きところは虫の声
飛蝗―数も知られぬ群蝗
ハチとアリ―働き者の社会
ノミ・シラミ・ナンキンムシ―馬の尿する枕元
チョウとガ―てふの出て舞う朧月
セミ―やがて死ぬけしきは見えず
昆虫文学を通して見えてくる人間の姿
「蚊帳やめてわずかな手間のその楽さ」
「蠅は逃げたのに静かに手を開き」
これらの川柳は、昭和を生きた方なら実感をともなって理解できるでしょう。人間はつい最近まで昆虫とともに暮らし、その美しさに感動したり生態に驚いたり、またカやシラミなどに悩まされてきました。
しかし都市化が進んだ現代日本では、虫を生活から排除し、いても気づかない存在になりました。
まず本書は、古今東西の人間と昆虫との長いつきあいを、文学を通して確認します。
エピソードのひとつを紹介すると、中国の古典『詩経』に、ハチはイモムシを狩って自分の子どもにすると書かれています。日本では「我に似よ、我に似よ(似我似我)」と聴きなし、その虫をジガバチと呼びますが、実際はイモムシを麻痺させて幼虫の餌にするのです。このような誤りが東アジアでは数千年も信じられ続けたのはなぜか、そこに筆者は「人間」の生態を見ます。中国の官吏登用試験である科挙では、先哲の書いたことを決して疑ってはいけなかった、その影響と考えます。
中国や日本、西欧の古典から、現代文学まで渉猟し、虫に関わる箇所を抜き出し、人間とは何かを考察するエッセイです。
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