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- いま、言わねば
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戦後編集者として
- 価格
- 1,980円(本体1,800円+税)
- 発行年月
- 2019年03月
- 判型
- 四六判
- ISBN
- 9784871960762
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[BOOKデータベースより]
まえがきに代えて “アレ”と“コレ”とは同根
[日販商品データベースより]1(「天声人語」子にふたことみこと;「ハナハ/ハナハ/ハナハ/サク?」;村上春樹氏への違和感 ほか)
2(“敗北”は連続している;“体験”を普遍的な経験へ;“風評”がもたらすもの ほか)
3(自衛隊の“国防軍”化を嗤う―桐生悠々;戯曲『夕鶴』が問いかけたこと―木下順二;不滅の『谷中村滅亡史』―荒畑寒村 ほか)
あとがきに代えて 杖をつきながらエピローグを
埴谷雄高、花田清輝、富士正晴、野間宏、杉浦明平、武田泰淳、竹内好、平野謙、丸山眞男、藤田省三、木下順二、上野英信、井上光晴等、戦後の名著の多くを手がけた伝説的な「戦後編集者」の遺言集――。
これまで戦後文学者や戦後思想家の伴走者として、「戦後」を創造し先行し体現した上記の人たちの証言、いわば語り部に徹していた著者が、今のこの国の惨憺たる現状に黙っていられず、時々刻々と近づいてくる自身の寿命を見つめながら、この破廉恥でモラルハザードな日本の状況に平易な言葉で異議申し立てを述べ続ける。このままでは死んでも死に切れないと、まるでそれが戦後に生きた者としての最大で不可欠な責任と使命であるかのように。
この全身編集者の著者が最期までこだわり続けた「戦後」には、三つの意味がある。一つは、「戦後の継続」。つまりは二度と戦争をしない(「起こさない」はもちろん)ということ。いかなる理由や状況下であろうとも、いったん戦争をすれば、そのときから「戦後」は終わってしまう。戦争は絶対悪である。二つ目は、「戦後精神」。天皇(制)の呪縛と国家の抑圧からの解放による、個の確立をはじめとした、人権、平等、自由、民主主義などを優先し尊重する精神のあり方である。著者は、編集者として戦後文学者や戦後思想家と同時代を共にしながら、その精神をまるごと体現化したと言ってもいい。そして三つ目が「戦後責任」。この国に属する限り決して免れない、誰もが対峙し続けなければならない基本的な責務。にもかかわらず、この国のマスメディアをはじめとした大勢はこの責務に鈍感で、いまだに直視しようとしない。それどころか、昨今は「取り返しのつかないことを」一切なかったことにしてしまおうという人でなし状態である。著者は、この破廉恥さ加減には、心底怒っていた。本書のどの文章も、すべてこの「戦後」から生まれ出たものと思っている。
わたしたち一人ひとりは、著者が全身で訴えたこの「戦後」を継承するためにどうすべきか、いかにあるべきか、それを根底から考えさせ、見つめ直させる本である。