[BOOKデータベースより]
本書は「富のあり方」をテーマに豊かさというものの再考を試みる。なぜなら『資本論』は何より「富」に対する透徹した眼差しに貫かれた書物だからである。まず、本書のキーになる“富”という概念を巡るさまざまな思想家の発想を参照しつつ資本主義の成り立ちについて深く考える。次に“貨幣”に主題を移し、貨幣がリアルな身体とイデア的な身体という二つの身体をもつことを解き明かす。そして「賃労働者は自由なのか」という問いを設定し資本主義における“労働”の有様を丹念に検証していく。最後に、現代における“資本”のグローバリゼーションについて考えながら、限界に突き当たった資本主義を乗り越えることの可能性を展望したい。
序章 マルクスはなぜ『資本論』を書いたのか
第1章 資本主義の「起源」
第2章 貨幣の「創世記」
第3章 賃労働の変容
第4章 資本のグローバリゼーション
終章 資本主義を超えて
『資本論』が世に出て150年あまり、私たちは当時よりも豊かになったのだろうか。本書は、「富のありかた」をテーマに、本当の豊かさを再考する。まず、本書のキーとなる【富】という概念について、アダム・スミスをはじめ多くの思想家の発想を参照しながら考察。次に、【貨幣】に主題を移し、市場の発達に伴い、つかまえようのない幽霊のような存在になってしまった貨幣の姿を追う。そして「賃労働者は自由なのか?」という問いを設定し、資本主義と【労働】の問題を検証。最後に、現代社会のグローバリゼーションにおける資本主義の現状を踏まえ、資本主義の限界を乗り越える可能性を示唆する。