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[BOOKデータベースより]
なぜ精神医学だけがかくも長く疑惑と批判にさらされ、「医学の異端児」とされてきたのか―?英雄と詐欺師たちが繰り広げてきたダークヒストリーを超え、DSM‐5の誕生とともに救済の科学へ至る精神医学の軌跡を素描する。アメリカ精神医学界の最重鎮が肉声で語る、光と闇に彩られた真実の物語。
序章 エレナに何が起きたのか?
[日販商品データベースより]1 診断をめぐる物語(医学界ののけ者―メスメリスト、エイリアニスト、精神分析家;迷走の時代へ―シュリンクの台頭;精神疾患とは何か?―診断名のるつぼ;レンブラント・ゴヤ・ゴッホを破り棄てる―精神医学を救った反フロイト派)
2 治療の物語(苦肉の策―発熱療法、昏睡療法、ロボトミー;母さんの小さな助っ人―待望の薬の登場)
3 生まれ変わった精神医学(孤立から脱して―脳革命;兵士の心臓―心的外傷の謎;多元主義の勝利―DSM‐5;汚名の終焉―精神医学の未来)
なぜ精神医学はかくも強烈な疑念や批判にさらされ、「医学の異端児」とされてきたのか?――
動物磁気を提唱したフランツ・メスマーの空想的理論、昏睡療法やロボトミーなど無謀な治療法、ジークムント・フロイト派の創設と決裂、脳科学研究を開拓したエリック・カンデルによるフロイト派の王位奪還、伝統あるドイツ精神医学のアメリカの精神科医への影響など、神秘的疑似科学として誕生した精神医学が生命を救済する科学=職業として成熟していく足跡をたどる。精神医学に名を残す英雄と偉大な詐欺師の錯綜した物語(ストーリー)、精神医学の光と影を成す歴史秘話(ヒストリー)、精神力動的パラダイム(心の学問)と生物学的パラダイム(脳の科学)との抜き差しならない葛藤と相克、そして1980年の刊行とともに精神医学のパラダイムを一新した『DSM-III』特別委員会委員長ロバート・スピッツァーの行動と思惟が、膨大な文献と個人的体験を交えながら、一般の読者にも読みやすいトーンで語られていく。
だが本書の目的は精神医学のダークストーリーをスキャンダラスに語ることではない。「精神疾患とは何か?」「いかにして精神疾患を診断・治療するのか?」と絶えず真摯に問い、精神疾患を「不幸な心の状態」ではなく「治癒されるべき病い」として描き、精神医学と精神疾患への偏見とスティグマを晴らす使命こそが、本書が見つめる最終目的だ。
アメリカ精神医学会(APA)会長にして全米科学アカデミー医学研究所会員の碩学ジェフリー・A・リーバーマンによる、誰も語らなかった/誰も語れなかった精神医学の真実。