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[BOOKデータベースより]
現世での生きづらさ、生命の根源的な孤独。世界的文学『苦海浄土』の著者による、水俣・不知火海の風景の記憶と幻視の光景。朝日新聞に3年にわたり連載された著者最晩年の肉声。
少年
[日販商品データベースより]会社運動会
湯船温泉
避病院
石の物語
アコウの蟹の子
水におぼれた記憶
紅太郎人形
雲の上の蛙
海底の道〔ほか〕
たぶん石牟礼道子は初めから異界にいた。そこから「近代」によって異域に押しだされた水俣病の患者たちとの連帯が生まれたのだろう。――池澤夏樹
名作『苦海浄土』で水俣病を告発し世界文学に昇華した著者が、ホームで闘病しながら語った、水俣・不知火海の風景の記憶と幻視の光景。朝日新聞に3年にわたり連載されたエッセイを収録した最晩年の肉声。写真家・芥川仁氏による写真多数収録。
「海が汚染されるということは、環境問題にとどまるものではない。それは太古からの命が連なるところ、数限りない生類と同化したご先祖さまの魂のよりどころが破壊されるということであり、わたしたちの魂が還りゆくところを失うということである。
水俣病の患者さんたちはそのことを身をもって、言葉を尽くして訴えた。だが、「言葉と文字とは、生命を売買する契約のためにある」と言わんばかりの近代企業とは、絶望的にすれ違ったのである。(本文「原初の渚」より)」