- かべのむこうになにがある?
-
Little Mouse and the Red Wall
- 価格
- 1,760円(本体1,600円+税)
- 発行年月
- 2018年03月
- 判型
- B4
- ISBN
- 9784776408161
[BOOKデータベースより]
おおきなあかいかべがありました。いつからなのかどうしてなのかだれもしりませんでした。ちいさいねずみはおもいました。「かべのむこうになにがあるんだろう?」
[日販商品データベースより]おおきなあかいかべがありました。どこまでつづいているのか、いつだれがつくったのか、だれもしりません。気にするものさえ、いません。でも、ねずみは、かべのむこうになにがあるのか、どうしても知りたくて……。
第65回青少年読書感想文全国コンクール・小学校高学年の部課題図書
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大きな赤い壁がありました。どこまでもずうっとつづいていました。壁の中には動物たちが住んでいますが、壁がどこまでつづいているのか、誰がいつどうやって作ったのか、誰も知りません。気にする者さえいないようでした。でも、知りたがりの小さいねずみだけはこう思いました。「ふしぎだな、きになるな。この かべの むこうに なにが あるんだろう?」ねこやきつねやくまは、「かべはあたしたちを守ってくれるのよ。外にはこわいものがいっぱいあるから」とか、「むずかしいことを考えるのはやめろよ。そうすりゃハッピーになれる」とか、いろいろなことを言います。くたびれたらいおんは「かべのむこうになんて、なにもない。闇だ。はてしない闇だ」とまで言います。でもある日、飛んできた空色の鳥といっしょに、壁をとびこえたねずみは……。この本の作者、ブリッタ・テッケントラップは、ドイツ生まれの絵本作家で、『いのちの木』をはじめ、哲学的で美しい絵本を描いています。圧倒的な存在感がある赤い壁と、壁を越えたあとのカラフルな世界は、ぜひ見くらべてほしい場面です。「ほんとうのものを みる ゆうきが あれば かべは きえる。ぜんぶ きえたあとには きっと すばらしいせかいが あるはずだよ」という言葉が胸にひびきます。もしかしたら「かべ」があることにさえ気づかずに暮らしているかもしれない私たち。「かべのむこう」を知りたいと願う、ねずみの勇気と、希望を感じる結末が、心に小さな火を点します。大人でも子どもでも、手元に置いておいて、ときどき読み返したい絵本です。
(絵本ナビライター 大和田佳世)
ずっと昔からある、高い壁。
この中にいれば安全だということも知っているし、深く考えなければハッピーなままでいられることも知っている。
でも、外の世界を見たい。知りたい。
何がこの小さなねずみを突き動かすのだろう。
付和雷同していては、大切なものを見失う。
自分の気持ちにウソをついて生きていくことになる。
知りたい気持ちを諦めずにいたねずみは、真実を見つけることができたのだ。
対照的な年老いたらいおんは、なぜ最後まで壁を越えなかったのだろう。
推測なのだけど、もしかしたら、若いころに壁を越えようと散々チャレンジして、諦めてしまった過去があるのかもしれない。
大人が読むと、今の世の中を象徴しているかのようで心が痛い。
見ないふりしてないか、諦めてしまってないか。
私たちの世界に立ちふさがる壁も、越えることができるのかな。
表紙カバーの下に、答えがあるような気がします。
ブリッタ・テッケントラップの美しい絵が、希望を与えてくれます。(ぐるさん 40代・愛媛県 )
【情報提供・絵本ナビ】