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[BOOKデータベースより]
カトリンの描く「インディアン・ギャラリー」に、チャーチの描くオリエント/アメリカの光景に、カサットの描く『モダン・ウーマン』に、タナーの描く『バンジョーのレッスン』に、ホッパーの描く沈黙のリアリズムに、美術と社会の重なりあう円環を解きほぐし、アメリカ美術の精華を探る!
プロローグ 「他者」を描くということ
[日販商品データベースより]第1章 ジョージ・カトリンの「インディアン・ギャラリー」―消えゆく他者と救出する画家の自己成型
第2章 フレデリック・エドウィン・チャーチのオリエント
第3章 メアリー・カサットの自画像―シカゴ万博女性館壁画『モダン・ウーマン』に描かれたモダニティと「新しい女」のイメージ
第4章 ヘンリー・オサワ・タナー『バンジョーのレッスン』をめぐって―黒人画家による黒人表象
第5章 沈黙のリアリズム―エドワード・ホッパーが視たもうひとつの「自己」
エピローグ 描かれる「他者」、撹乱される「自己」
一四九二年にクリストファー・コロンブスがアメリカ大陸そばのカリブ諸島にあるひとつの島、現在ではサン・サルバドル島と呼ばれる地に到着したとき、彼はそこがインドの近くの島であると信じていた。そのため、そこに暮らす人々は「インディアン(インド人)」と呼ばれることになり、カリブ海域の島々も「西インド諸島」と名づけられた。アメリカの先住民は、「インディアン」と白人に呼ばれることによって「インディアン」となったのである。このときインディアンは白人によって「発明」されたとも言えるであろう。……美術作品などの視覚文化は、他者を典型的な他者の図像(たとえば「凶暴で野蛮なインディアン」)に表現することによって、支配者の思想や価値観の確立や保持のために機能する。だが他方ではまた、表象を変異させていくことによって、その思想や価値観を攪乱することもある。他者とされた人々が主体的に自らを表象するようになったとき、そこにはある種の攪乱が拭いがたくあったはずである。以下の各章では、さまざまな他者が描かれた多様な作品を見ていくことによって、それがどのように自己と他者のイメージをつくりだし、あるいはそれを解体しているのかを解き明かしていく。