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[BOOKデータベースより]
「失われた25年」のなかで成熟・持続性重視の果敢な取組みを続ける各地の「現場」(全10集・300事例)から、地域産業・中小企業の未来が見えてくる。
1 地域産業に新たなうねりを(東京都墨田区 下町でオープン・イノベーション―シェアファクトリーを展開(小倉メリヤス製造所、nuuiee);東京都江東区 製本業のオープン・イノベーション―モノづくりの新たな開かれた広場(篠原紙工、Factory4F);秋田県五城目町 山間地域の廃校跡に移住起業家が集結―七社が進出、六社が起業(地域活性化支援センター、ハバタク) ほか)
[日販商品データベースより]2 地域資源系産業の展開(島根県吉賀町(旧六日市町) ダンプを降りて、祖父母のところにIターン就農―一人で工夫して稲作とハウス栽培(河口貴哉氏);富山県高岡市 トマト農家が直売とレストランを展開―若年帰農し、専業化、六次化に向かう(森田農園);島根県松江市(旧宍道町) シジミ漁師たちが会社設立―共同で加工し、付加価値を付ける(宍道湖) ほか)
3 機械金属系産業の未来(兵庫県神戸市 大型立旋盤で航空機部品に展開―粗加工から仕上加工に向かう(中谷鉄工所);大分県佐伯市 溶接から出発、鈑金、機械加工、組立までの力をつける―長男と娘婿が入り、後継も不安なし(二豊鉄工所);茨城県日立市 樹脂切削からモデル装置の製作まで―彫刻業から理化学機器、試験装置に展開(創和工業) ほか)
90年代初めのバブル経済崩壊以来、「失われた20年」といわれてきたが、すでに25年を重ねている。この間、08年頃をピークに人口減少過程に入り込んできた。
これからの日本の産業経済の基本的構造条件は、国内的には「成熟化、人口減少、少子高齢化」となり、対外的には東アジア諸国地域の経済発展による「グローバル化」ということになろう。そして、そのような枠組みの中で、国内的には新たな産業構造、地域産業社会の形成が求められている。
振り返ると、プラザ合意の85年前後を頂点に、日本の事業所数が減少過程に入っていった。以来、現在までの30年で製造業の事業所数は半分程度にまで減少している。国・地域が活性化していくためには新規創業が欠かせないのだが、退出する事業所ばかりが多い。
この成熟化、人口減少、少子高齢化はこれまでとは全く異なった構造条件であり、その新たな構造条件を受け止めた新たな事業創出が期待される。それは従来のような基礎的消費に対応する大規模生産といったものではなく、身の回りの社会課題を解決し、新たな豊かさを生み出していく事業であろう。
そのような視点から、本書では、大きな三つの動きに注目してみた。第一は、大都市と地方圏における新たな取組みである。そこには、従来型の成長至上主義とは異質な豊かさが拡がっていた。第二は、主として地方圏の取組みだが、地域資源に注目し、そこに新たな付加価値を付けようする取組みである。第三に、モノづくり産業の基礎となる中小機械金属関連中小企業の新たな取組みがある。
これらのいずれも、この四半世紀の大きな構造変化を受け止め、試行錯誤を重ねながら、新たな世界を見出しているようにみえた。大都市から地方圏まで、私たちの地域産業は、明らかに次のステージに向かっているのであった。(せき・みつひろ)