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西洋人との夢分析の一事例を中心として
創元社 武野俊弥
点
それぞれの人生をいかに見て、いかに意味づけるか。眼前の患者から、その患者にだけ通用する理論を見いだそうとするユング派精神療法。その要諦と実践内容をつまびらかにする。
第1章 ユング派精神療法(ユングにとっての無意識;ユング派精神療法の特徴;ユング派精神療法の実際)第2章 ユング心理学を診療に生かす(無意識の神話産生機能と自己治癒力;個人神話の創出;全体性の追求)第3章 西洋人とのユング派夢分析の実際(事例呈示)
生物の「多様性」と、それが失われつつあることへの危惧が語られて久しい。この地球上にはさまざまな生物が息づき、互いに繋がり合いながら生きている。その豊かな繋がりが失われつつあることへの危機感は、人間の心についても言えるのではないだろうか。人は一人ひとりみな違い、それぞれが固有の人生を生きている。複雑で矛盾だらけの人間の心を扱うには、一人の人間の場合ですら、その時々において多様なアプローチが求められるはずである。しかし現実には、こころの臨床の動向は、豊かな多様性に対応する方向に進んでいるとは言いがたいように思われる。昨今、生物学的精神医学の急速な進歩にともない、精神科医の多くは自然科学の新知見の吸収に追われて、幅広い領域の知を取り入れる余裕がなくなっているようにも見みえる。自然科学の知見だけではなく広く人文科学を含めた他領域の知は、心の多様性に向き合う臨床家のセンスを格段に豊かにし、深めてくれるものではないかと著者は語る。本書は、人間存在を心身の相対的な枠組みのなかで総合的に理解しようとしたC・G・ユングの考え方をもとに、著者自身の臨床観を簡潔に紹介しながら、さらにはユング派精神療法の真髄とも言える夢分析の実践事例のプロセスを丹念にたどった貴重な一書である。演奏時の手の震えを主訴として訪れたヴィオラ奏者は、著者に自身の夢を語るなかで自らの内面にある問題と自分に起こっていることの意味に気づき、無意識の力を借りながらしだいに薬の助けなしに演奏ができるようになっていった。セラピストと患者とが対等の立場で心の交流を行うユング派のセラピーの様子が、じつに生き生きと描かれている。最後に著者は、すべての臨床家が、目の前にいる患者から真摯に学び、人真似ではない独自の臨床世界を築いていくべきであることを力説している。すべての人の人生に意味があり、すべての臨床家が作り出した独自の臨床ワールドに意味がある。本書は、豊かな心の「多様性」の実現のために書かれた一書であるとも言える。[目次]第一章 ユング派精神療法1 ユングにとっての無意識2 ユング派精神療法の特徴3 ユング派精神療法の実際第二章 ユング心理学を診療に生かす 1 はじめに2 無意識の神話産生機能と自己治癒力3 個人神話の創出4 全体性の追求5 おわりに第三章 西洋人とのユング派夢分析の実際1 はじめに2 事例呈示3 おわりに
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1位
又吉直樹
価格:1,320円(本体1,200円+税)
【2015年03月発売】
一覧を見る
[BOOKデータベースより]
それぞれの人生をいかに見て、いかに意味づけるか。眼前の患者から、その患者にだけ通用する理論を見いだそうとするユング派精神療法。その要諦と実践内容をつまびらかにする。
第1章 ユング派精神療法(ユングにとっての無意識;ユング派精神療法の特徴;ユング派精神療法の実際)
[日販商品データベースより]第2章 ユング心理学を診療に生かす(無意識の神話産生機能と自己治癒力;個人神話の創出;全体性の追求)
第3章 西洋人とのユング派夢分析の実際(事例呈示)
生物の「多様性」と、それが失われつつあることへの危惧が語られて久しい。この地球上にはさまざまな生物が息づき、互いに繋がり合いながら生きている。その豊かな繋がりが失われつつあることへの危機感は、人間の心についても言えるのではないだろうか。
人は一人ひとりみな違い、それぞれが固有の人生を生きている。複雑で矛盾だらけの人間の心を扱うには、一人の人間の場合ですら、その時々において多様なアプローチが求められるはずである。しかし現実には、こころの臨床の動向は、豊かな多様性に対応する方向に進んでいるとは言いがたいように思われる。
昨今、生物学的精神医学の急速な進歩にともない、精神科医の多くは自然科学の新知見の吸収に追われて、幅広い領域の知を取り入れる余裕がなくなっているようにも見みえる。自然科学の知見だけではなく広く人文科学を含めた他領域の知は、心の多様性に向き合う臨床家のセンスを格段に豊かにし、深めてくれるものではないかと著者は語る。
本書は、人間存在を心身の相対的な枠組みのなかで総合的に理解しようとしたC・G・ユングの考え方をもとに、著者自身の臨床観を簡潔に紹介しながら、さらにはユング派精神療法の真髄とも言える夢分析の実践事例のプロセスを丹念にたどった貴重な一書である。演奏時の手の震えを主訴として訪れたヴィオラ奏者は、著者に自身の夢を語るなかで自らの内面にある問題と自分に起こっていることの意味に気づき、無意識の力を借りながらしだいに薬の助けなしに演奏ができるようになっていった。セラピストと患者とが対等の立場で心の交流を行うユング派のセラピーの様子が、じつに生き生きと描かれている。
最後に著者は、すべての臨床家が、目の前にいる患者から真摯に学び、人真似ではない独自の臨床世界を築いていくべきであることを力説している。すべての人の人生に意味があり、すべての臨床家が作り出した独自の臨床ワールドに意味がある。本書は、豊かな心の「多様性」の実現のために書かれた一書であるとも言える。
[目次]
第一章 ユング派精神療法
1 ユングにとっての無意識
2 ユング派精神療法の特徴
3 ユング派精神療法の実際
第二章 ユング心理学を診療に生かす
1 はじめに
2 無意識の神話産生機能と自己治癒力
3 個人神話の創出
4 全体性の追求
5 おわりに
第三章 西洋人とのユング派夢分析の実際
1 はじめに
2 事例呈示
3 おわりに