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[BOOKデータベースより]
視覚や見る行為自体に焦点を合わせ、その特性を社会学的に明らかにする。見ることが人や社会などをどのように作り上げて行くのか。
第1章 “夢見る瞳”と“旅する眼”
第2章 “視覚”を眺める―クリナメンによる他性の構築
第3章 凝視の廃位―注目の戴冠
第4章 “器官なき身体”への眼差し―反復・変様・回帰
第5章 物語の視覚―リマソン・ループと“世界制作”
第6章 フェティッシュの視的な効果
第7章 接続・接続・接続…―視のプラトーと脱記号
第8章 世界の自己化は自己の世界化―視的一元性
各章の内容を簡単に要約すると、見ることの構成的な意義は何を見るのかによって異なってくる。したがって、第一章では「イメージ」を見ることに焦点を合わせ、現実とは既成の事柄ではなくイメージを見ることによって構成されるという点を、イメージの現実からの遠のきと呼び戻しという動的特性、およびイメージが含み持つレトリックの役割、さらにはイメージを見ることと、本物とか真正なこととはいかなる関係に置かれているのかを考慮に入れながら検討している。
次の二つの章は、イメージから「現実」を見ることに論点を移行させ、現実での身体視覚的な移動が何をするのかを問うている
続く三つの章では、一般抽象的なイメージや現実ではなく、「身振り」、「フィギュア」、「フェティッシュ」という個別特殊な事柄に視点を移し、これらを見ることの意義を追って行く。
次の第七章は、前章の効果といった見ることの因果連関を拡張し、見ることによる対象の「接続統合」について触れている。
最後の第八章では、従来の物語的自己の概念に替え、視の移動により顕現するニューラル・パターンを「挿話的自己」として立て、ニューロ・サイエンスとニューロ・フィロソフィーが唱える自己と世界との「一元論」を援用することで、内的な自己と外的な社会や世界を対立的に二分化する「二元論」を打ち消し、見ることは自己、社会、世界を相互に浸透、内属させて共に同時に同一のものとして構成することを示し、全体の内容の補強を行っている。
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