[BOOKデータベースより]
あたしは、まだ母に愛されたいと思っている。いつか母は、あたしを愛してくれると信じている。そんなことは無理だとわかっていても、あたしはあたしの深いところで、いまも願っている。
[日販商品データベースより]――どんなに思ったって、願ったって、祈(いの)ったって、母はあたしを好きにはならない――
『家族を描くならここまで書きなさい…と、いとうみくにガツンとしかられた気がする』児童文学作家・安東みきえ氏
『「家族」から逃げている自分に気づく。みんなが幸せでいられる距離って本当に難しくて、苦しい』紀伊國屋書店新宿本店 新宮修子さん
『友だち、家族、そして母親の愛。葛藤(かっとう)した日々を過ぎれば、きっと前を向いていけると感じさせてくれる作品』クレヨンハウス子どもの本売り場 馬場里菜さん
『「子どもはどうしてこんなに健気なのでしょう。痛くて痛くて涙なしでは読めませんでした。いつのまにか夢中になって読みました。』MARUZEN&ジュンク堂書店池袋本店 市川久美子さん
『愛されていない相手との暮らしは本当につらい。このことから逃げられない子どもたちはどれだけいるでしょう。現代に必要な物語だと強く思います』MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店 森口泉さん
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日和(ひより)は、家が嫌いだった。日和にとって家は、いつも緊張し、気をつかわなければならない場所だった。日和は、妹の紅子が怖かった。紅子は母にとっての女王様で、妹の機嫌を損ねれば、母に疎まれることになるから。そして日和は、いつも祈っていた。いつか、母が自分を愛してくれるようになる、そんな日を信じて──。疎まれ、嫌われ、それでもなお母に愛されたいと願う日和。家族がばらばらになってしまうことを恐れて、妻と娘の歪な関係から目をそらしつづける父。そして、なんとかして我が子を愛そうともがき、しかし叶わずに苦悩する、母の愛子。すれすれの均衡でなんとか家族の形を保っていた日和たちだったが、ある日、愛子の誕生日にその均衡を崩す事件が起きる。「母は、娘を愛することもできず、捨てることもできなかった。だけど、あたしはちがう──」『糸子の体重計』や『空へ』、青少年読書感想文全国コンクールの課題図書に選出された『二日月』、『チキン!』など、今もっとも注目される児童文学作家いとうみくがあらたに描くテーマは、”子どもを愛することのできない母親”。もしこの物語が、日和ただひとりを主人公にしたものだったら──もしこの物語が、愛子のことをただ「娘を憎むいじわるな母」として描いていたら──もしそうであったなら、この切なさも、やりきれなさも、いくぶんかは軽かったろうと思います。しかしこの物語では、中学一年生の日和はもちろん、その母親である愛子も、また悩み、戦い、もがく主人公のひとりなのです。「あの子を抱くと、苦しかった。お母さんってすりよってきたとき、ぞっとしたこともある」どうして我が子を愛することができないのだろう。母親として大切な何かが欠けているのだろうか。一方で、日和の妹である紅子のことは、自然と愛することのできた愛子。紅子のことを愛する愛子の母としての言葉を読むたびに、「どうして紅子だけ」、「どうして日和のことは」という日和の悲しみがまざまざと思い起こされ、読者の胸を貫きます。どうしても娘を愛することができない母親という衝撃的なテーマを、欠片の容赦もなく、そしてどこまでも真摯に描き切った一冊。大人でも決して心穏やかには向き合うことのできない深刻な物語ですが、同時に、それを児童文学として届けようという試みに、子どもたちの強さや感受性に対する著者の深い信頼がうかがえます。「家族が家族というだけで無条件に相手を愛し、理解しあえるものだとおしつけるのも、ちがうと思う──」家族とはなにか。母とはなにか。傷つけ合いながらもなんとか家族であろうともがく日和たちが、苦悩の末にたどり着いた結論とは──?子を持ちそして母を持つ、すべての人に届けたい、家族のあり方にあたらしい光を当てる衝撃的な一冊です。
(小説家 堀井拓馬)
【情報提供・絵本ナビ】