[BOOKデータベースより]
恋や愛という他者への欲望から生まれる罪業と葛藤、そして聖人の救済が描かれる『霊異記』。奈良末期から平安朝前期において、漢訳仏典の語や教理の深淵に人間の心の様相を求め、存在の在り方を探った仏教説話集である。これまでは仏教学、思想史学、歴史学、国語学方面からのアプローチがほとんどであったが、「文学」の対象に据えたとき、物語の持つあらたな構造が浮かび上がる。作品論的読解により、中国説話集の未熟な模倣作とされた評価を覆す。
『日本霊異記』における罪業観と救済の構造
第1部 罪業の形象(狐妻説話における主題―愛欲の表現と異類婚姻譚;狐妻説話における恋歌―「窃窕裳襴引逝也」との関係を通して;「愛心深入」における女の因業;婬〓(いつ)なる慈母―子の孝養における救済;盲目説話の感応と形象―古代東アジア圏における信仰と奇瑞;宿業の病と無縁の大悲)
第2部 “聖人伝”の形象(聖徳太子の片岡説話―「出遊」に見える“聖人伝”の系譜;『霊異記』が語る行基伝―聖人の眼をめぐって;行基詠歌伝承と烏の形象;「外道」なる尼―女人菩薩説話の形成)
編者景戒の夢見と『日本霊異記』説話との関係性
人はどのように苦しみ救いを得ているのか。恋や愛という他者への欲望から生まれる罪業と葛藤、そして聖人の救済が描かれる『霊異記』。作品論的読解により、中国説話集の未熟な模倣作とされた評価を覆す。
この商品をご覧のお客様は、こんな商品もチェックしています。
- 嫉妬と階級の『源氏物語』
-
価格:1,815円(本体1,650円+税)
【2023年10月発売】
- えろまん
-
価格:1,430円(本体1,300円+税)
【2019年08月発売】
- 愛とまぐはひの古事記
-
価格:880円(本体800円+税)
【2011年10月発売】