[BOOKデータベースより]
記憶を手繰る、言葉を奏でる。静かに響きわたる著者初の音楽エッセイ。
青少年のいる光景
音の発毛促進
ひとりのなかのふたり
ラの音
小川への微妙な感謝
宇宙暦1951
控えめな矜持
偽りの組曲
履行遅滞による損失はない
酸味のある音〔ほか〕
静かに響きわたる、著者初の音楽エッセイ
小学生の時に友人の家で聴いたカラヤンのレコード、中学校の音楽室で耳を傾けたブラームス、日曜朝のFM放送、故郷でストーヴを焚きながら聴いた灯油の臭いのするカセットテープ、大学生になって、抽選で当たって訪れた“はずだった”、あるピアニストのコンサート……。
音の記憶の糸をたぐり寄せ、絡まった糸を一本ずつ解きほぐしていくと、そこには何が見えてきたのであろうか――。
《音の糸は音の意図。場合によっては神の意図にもなる。翻弄されるのはつねにこちらのほうであって、だからこそ音楽との一対一の関係に適度な緊張が生まれてくる。どんなに絡まり合っていても、それが音楽にまつわる身分証明である以上、むげに断ち切ることなど、いまもこれからもできはしないだろう》(本文より)
50篇で綴る、音楽と記憶の断片。
【編集担当からのおすすめ情報】
この本には、およそ70曲におよぶ楽曲が綴られています。読み進めると、それらが頭の中に微かに鳴り響き、音源を探してみたくなるかもしれません。そしてまた、自分なりの音楽の記憶の糸をたぐり寄せたくもなるのではないでしょうか。
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著者が「クラシックプレミアム」誌に連載した原稿に大幅に加筆した音楽エッセイ集。小説にも通じる、どこか謎めいた50篇の作品世界は、従来の読者と新しい読者に新たな感興をもたらす。