- 来たるべき内部観測
-
一人称の時間から生命の歴史へ
講談社選書メチエ 623
- 価格
- 1,815円(本体1,650円+税)
- 発行年月
- 2016年05月
- 判型
- B6
- ISBN
- 9784062586269
[BOOKデータベースより]
過去から現在へ、そして未来へと流れる「時間」を私たちも、科学者も疑っていない。しかし、人間の経験は、いつでも持続する「今」の中にしかなく、常に持続する「今」は、生命の起源から途切れなく続く歴史全体を含んでいる―。「内部観測」の発見者が、前著から十五年を経て、自身の理論のバージョンアップを試みる大胆な挑戦。
第1章 アーサー・プライアーの謎
第2章 量子論からの決定性
第3章 熱力学からの一人称
第4章 一人称行為体からの量子論
第5章 インフォメーション―抽象から具体へ
第6章 意識を操ること
第7章 時制をまたぐ脳
第8章 生命の起源にたどりつく
終章 「持続する今」をもたらす親和性
「過去、現在、未来」から成り、前後関係を定めることができるような「時間」を、私たちも、そして科学者も疑っていない。しかし、私たちがすべてを経験するのは常に持続する「今」なのだとすれば、二つの時間をともに捉えなければならない。「内部観測」の発見者である著者が、自身の理論をバージョンアップするべく試みる大胆な挑戦。さまざまな科学の最前線を横断しながら展望される、前人未到の領域を目撃せよ!
「時間」とは何か?──そう問われたとき、人は「過去、現在、未来」から成る流れのようなものを想像するだろう。その時間の中では「過去」、「現在」、「未来」が明確に区別され、それらの前後関係を定めることができると考えられている。そのような時間は、経験科学も自明の前提としてきたものである。しかし、その一方で、私たちは常に「今」に生きていて、「今」から離れることはできない。つまり、私たちがあらゆる経験をする現場は「今」以外ではなく、そこには「過去」も「未来」もない。
だとすれば、ここにある「現在」と「今」は同じものなのか。本書は、この問いを出発点にして、前後関係としての時間に依拠する経験科学が、経験の現場である「今」を捉える方法を探っていく。
そのためのカギになるのが、著者が発見し、世界的に影響力を及ぼし続けている「内部観測」という方法にほかならない。内部観測とは、個物が他の個物と関係をもつとき、相手から受ける影響を相互に同定しながら相手を観測する、という私たちが経験の現場で日々行っている事実を指す。すでに『内部観測とは何か』(2000年)でその概要を示したこの方法をバージョンアップするべく、著者は私たちがもっている「言語」に注目する。
通常、言語は「過去」、「現在」、「未来」を区別する「時制」をそなえている。しかし、時制は三人称で捉えられるものであり、それは一人称でしかありえない経験を捉えることはできない。ところが、物理学をはじめとする経験科学は、三人称での記述を行うものとして、確立・発展してきた。そこで扱われる対象は、すでに完了形になった「過去」のものでしかないが、経験というのはいつでも進行中であり、完了とは無縁の一人称のものである。では、経験科学は一人称を捉えることはできないのか? 量子論、熱力学、インフォメーション現象から「生命の起源」に至るまで、さまざまな科学の最前線を横断しながら、著書は前人未到の領域を目指して大胆な可能性に挑戦していく。
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