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[BOOKデータベースより]
ベイズ統計モデリングの簡単な紹介
一般化線形モデル入門:最も単純な計数値データのモデル
ランダム効果入門:計数値データに対する従来のポアソンGLMM
個体群の計数値による状態空間モデル
捕獲再捕獲データによる閉鎖個体群サイズの推定
Cormack‐Jolly‐Seberモデルを使った捕獲再捕獲法による生存率の推定
標識回収データを用いた生存率の推定
多状態モデルを用いた捕獲再捕獲による生存と移動の推定
Jolly‐Seberモデルと捕獲再捕獲データによる生存、幼生加入、個体群サイズの推定
統合個体群モデルと複数のデータによる個体群統計パラメータ、個体群サイズ、射影行列の推定
二項混合モデルとメタ個体群デザインで得られる計数値データを用いた個別数推定
メタ個体群の検出・不検出データとサイト占有モデルによる占有と種の分布の推定
終わりに
階層モデルによる野生生物の個体群動態の解析方法と、統計ソフトウェアRを通してWinBUGSで解析を実行する方法を解説。生態学のみならず、観測できないプロセスの推測に携わるすべての者に必携の書。
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本書は人間が通常観測することができない生態プロセスを推測する階層モデリングについて理論とWinBUGSによる実践方法を解説した“Bayesian Population Analysis using WinBUGS: A hierarchical perspective” の邦訳である。
本書の特徴の1つは日本語での解説例がほとんどない生態プロセス推測における階層モデリングについて詳細に解説している点である。特に野外においては人間が知りたい生態プロセス(例えば野生動物の個体数の変動)を直接観測できることがほとんどないため観測できるデータから生態プロセスを推測しなければならない。階層モデルは観測と生態プロセスを明示的に分離することで古典的な捕獲再捕獲法などと比較して「きれいでない」データに対しても適用できるなど非常に柔軟な推測を可能とする。海外では階層モデリングによる成果が急増しているが日本では諸外国より遅れている。
本書のもう1つの特徴は階層モデルのベイズ推定に焦点をあてWinBUGSを統計ソフトウェアRから操作して実行する方法を詳細に解説している点である。MCMC法を実行できるソフトウェアは近年種類が増加しているがそれらのソフトウェアに共通する課題としてデータの読み込みなどの操作性が低いことが挙げられる。RからWinBUGSを扱うことで操作性は飛躍的に向上するが本書ではそのような方法で階層モデルを解析した例をプログラム付きで多数紹介している。そのため本書はRとBUGS言語の解説書の一面も有している。またWinBUGSでの解析の実行プログラムはOpenBUGSやJAGSに流用することも容易であり汎用性が高い。読者自身が読者自身の観測データを解析する際に役立つ非常に実践的な構成となっている。
さらに本書は階層モデリングの解説だけに留まらず野外調査につきまとう不完全な観測への対処階層モデルを使用するための調査デザインにも言及している。生態学のみならず観測できないプロセスの推測に携わるすべての者に必携の書であると言える。