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永井荷風、今東光、永井龍男、松本清張、立原正秋。5人の大家からの「嫌われぶり」を基に一世を風靡した昭和の名人作家の毀誉褒貶を描く大作。
序 なぜ余技なのか
第1章 永井荷風―愛憎無惨
第2章 今東光―不良と蒲柳
第3章 永井龍男―東京人の懸隔
第4章 松本清張―師友の死角
第5章 立原正秋―食通幻影
永井荷風、今東光、永井龍男、松本清張、立原正秋。5人の大家からの「嫌われぶり」を基に、目覚ましい活躍で一世を風靡した昭和の名人作家・小島政二郎の毀誉褒貶を描いた大作。
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価格:1,980円(本体1,800円+税)
【2022年04月発売】
大家から嫌われた大家の毀誉褒貶
これだけ大作家から嫌われた作家も珍しいだろう。逆に言えば「虎」に?みつかれた「山猫」とでもいった存在。しかしながら『一枚看板』(一九二二年)で文壇デビュー、その後も次々と人気作を発表し続け、芥川・直木賞の選考委員も務め、『三百六十五夜』の映画化など目覚ましい活躍で知られた昭和の名人作家でもある。
ことに戦中に発表された『眼中の人』は大正文壇史を生き生きと描く貴重な資料でもあり、食の随筆『食いしん坊』は大きな反響を呼んだ。
本書は、永井荷風、今東光、永井龍男、松本清張、立原正秋の五人からどのように嫌われたか、そのことによって「山猫」ぶりを浮かび上がらせ、反感を物ともせずに活躍した昭和の名人作家がたどった生涯を描いた、脇筋からの大著ともいえる。
著者の亡父は作家の津田信。芥川・直木賞の候補に八回上がったものの大成せず、小島に師事しながら立原正秋、高井有一らと同人誌「犀」に参加した。
小島に対する彼らの批判が自業自得によるものだったとしても、著者の正当に再評価をすべきだという強い志のもと、本書は「悪口で綴る小島政二郎」という体裁をとりながら、亡父の意思を継いだ復権の書となっている。