- 動物と戦争
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真の非暴力へ、《軍事ー動物産業》複合体に立ち向かう
Animals and war.新評論
アントニー・J.ノチェッラ コリン・ソルター ジュディー・K.C.ベントリー 井上太一- 価格
- 3,080円(本体2,800円+税)
- 発行年月
- 2015年10月
- 判型
- B6
- ISBN
- 9784794810212
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[BOOKデータベースより]
人間中心の平和主義を超えて「人間の、人間による、人間のための平和思想」には限界がある。“非暴力”“平和”の概念を人間以外の動物の視点から問い直す。
序章 “軍事‐動物産業”複合体
[日販商品データベースより]第1章 戦の乗り物と化した動物たち
第2章 動物たちの前線―米軍医療訓練実習の動物搾取
第3章 兵器にされる人間以外の動物たち
第4章 戦争―動物たちの被害
第5章 戦地の動物
第6章 戦争と動物、その未来
終章 動物研究、平和研究の批判的検討―全ての戦争を終わらせるために
戦後七〇年を経た日本が軍国化へと退行しつつある現状は、平和をこいねがう人々にとって愕然とすべき事態であるに違いない。戦後世代を導いたものは、原爆と空襲の記憶でも、沖縄やシベリアの経験でも、日本の戦争責任の反省でもなく、抑止論すなわち「恐怖の均衡」の論理だった。かくして、戦地に赴く自衛隊員の犠牲や、敵方の報復攻撃を受ける日本の民間人の犠牲、あるいはごく稀に他国人の犠牲を憂慮する声が、今や方々に飛び交うようになった。
ところで、そうした言論の中、完全に抜け落ちている視点がないだろうか――人間以外の生きものを気づかう視点が。「何、動植物? 多くの人命が危ぶまれている時にか」と、人はそう言うかもしれない。我々は人間中心の思考に慣れ過ぎているので、この反応も驚くには当たらない。しかし、命に上下を設けるのは抑圧者の発想ではないだろうか。苦しむ者に等しく手を差し伸べる献身、それが平和主義の原点であるとするならば、「動物なんか」と考える人は平和の理念から最も遠ざかっている。反戦・平和をめざす個々の活動の幅には無論、限界があるが、それにしても、ある集団の犠牲者が(同じ戦争の被害を受けるというのに)意識にすら上らないでいいのだろうか。自国民のことしか考えない平和論が偏狭であるのと同様、人間以外の生きものを考えない平和論もやはり偏狭であると思う。無視と黙認は、時に最大の暴力になる。
本書は平和学と動物福祉に携わる海外気鋭の活動家、研究者らが、人間以外の生きもの、特に動物に焦点を当て、その戦争被害を様々な角度から照らし出した画期作である。ここに紹介されている事例も世界を覆う暴力の一片鱗に過ぎないことは言うまでもないが、この著作を通して、日本の平和論がより大きな視座に至り、前進を遂げることを願ってやまない。(いのうえ・たいち 翻訳家)