[BOOKデータベースより]
第1章 植物群集のデータとその性質(植物群集データの収集;植物群集データの性質;植物群集データの空間スケールと時間スケール)
第2章 植物群集の序列化と分類(植物群集の類似性;植物群集の序列化;植物群集の分類)
第3章 植物群集の多様性の解析(種の多様性の定量化;種の形質を考慮した多様性の定量化;種の系統情報を考慮した多様化の定量化;多様性の空間スケール)
第4章 植物群集データを用いた回帰分析(応答変数と説明変数;線形回帰;一般化線形モデル;一般化線形混合モデル;構造方程式モデル)
第5章 植物群集の解析の応用事例(生態学的閾値の研究;植物‐植物間相互作用の研究;植物群集を介した植食性昆虫の多様性維持機構の研究;絶滅の負債に関する研究)
付録 Rで植物群集データの解析を行うための主なパッケージと解析手法
植物群集データの解析に焦点を当てた書。初学者のみならず職業として研究に従事する人が解析手法を適切に選択して研究を行えることに配慮し、最新の内容を盛り込みながらも数式の多用を避け、平易で簡潔に記述。
群集生態学は群集の構造や多様性すなわち種数や個々の種の個体数が種間の相互作用(競争や促進効果など)や環境要因によってどのように決定されているのかを解明する学問分野で環境変化による生物群集の変容を明らかにすることにより生態系の管理や保全へとつなげていく応用研究も展開されている。解析において必要となる生物群集のデータは群集を構成する各種の個体数被度バイオマス(植物体の量)などを基本とするものである。
本書は群集生態学の中でも植物群集を対象としている。植物群集(あるいは生物群集一般)についてはその解析手法を網羅した教科書が少ない上多様性に関する定量化手法の論文や書籍は英語のものばかりで日本語による教科書が求められていた。こういった期待に応える1冊となるよう初学者のみならず職業として研究に従事する人が解析手法を適切に選択して研究を行えることに配慮し最新の内容を盛り込みながらも数式の多用を避け平易で簡潔な記述とした。言及する植物群集解析の各手法のうち主要なものについては統計環境Rで解析するためのパッケージを多数付録として掲載している。
なお本書は植物群集データの解析に焦点を当てているがそのアプローチのほとんどは他の生物群集に対しても適用できる。生物群集を対象とした研究や実務を行っている幅広い立場の読者に必携の1冊である。