[BOOKデータベースより]
不良冷蔵庫76台をハンマーで叩き壊した時からハイアールの自己破壊と創造の歴史が始まった。顧客との距離を限りなくゼロにする最先端ビジネスモデルをMBA流に徹底解剖。
第1章 時代に合わせて会社を変える―ハイアールがなぜ特別なのか
第2章 戦場―欧米と中国の家電業界
第3章 ハイアールの歴史と企業文化の変遷
第4章 才能を解き放つ―起業家精神を開拓する
第5章 21世紀の企業文化を構築する
第6章 高収益の源泉
第7章 真のハイブリッド―戦略的に俊敏な組織のつくり方
第8章 真の破壊者―変化を受け入れ、価値を創造する方法とは
不良冷蔵庫76台をハンマーで叩き壊した時から、ハイアールの自己破壊と創造の歴史が始まった…。ビジネスモデルと企業文化をわずか30年の間に、1度ならず少なくとも3度も、再構築した企業の物語。
成功した実績のあるビジネスモデルを実践しつつ、同時に未来のために新しいビジネスモデルを生み出せるような組織構造の構築に成功した企業は数少ない。ハイアールが見事な能力を発揮してみせたのは、まさにそこだ。ハイアールはその継続的な組織改革の文化によって、未来の困難にも立ち向かう備えが十分できているようだ。 『ビジネスモデルジェネレーション』著者、アレックス・オスターワルダー (本書序文より)
本書は、変革についての本だ。ビジネスモデルと企業文化をわずか30年の間に一度ならず少なくとも三度、再構築した企業の物語だ。組織をうまく変えられる企業は繁栄するし、それができない企業は破滅の危機を迎える。GEのジャック・ウェルチが「(組織の)外での変化の速度が組織内の変化の速度を上回ったとき、終わりが見えてくる」と言ったのは有名な話だ。そうは言っても、変わるというのは簡単にできることではない。
ハイアールの源流は、1920年青島に建設された冷蔵庫工場。1949年中華人民共和国が樹立されると、その工場は当局が管理する工場になった。低品質と労働意欲の低さで知られていたその工場は、1984年に張瑞敏(チャン・ルエミン)という若い役人の指揮下に置かれ、新たな経営手法の実験場となり、その後劇的な成長を遂げる。今では冷蔵庫、エアコン、洗濯機などの白物家電で世界シェア1位となり、今では携帯電話やネットワーク機器も製造するようになっている。ハイアールが既存の世界的大手企業との厳しい競争の中でこれだけの偉業を、しかも短期間でどうやって成し遂げたか、そしてハイアールが実践したビジネスモデル改革の力がどんなものだったかが、本書の核心部分だ。ピーター・ドラッカーは、1997年に「私たちが組織について持っていた考えを1980年代前半に日本の産業が根本的に変えたのと同じように、これからは中国が斬新な経営手法の源となるだろう」と予言した。本書には、ドラッカーが述べていた中国企業からの教訓がちりばめられている。