- Time Asia 2014年 6/9号
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週刊 日販IPS
- 価格
- 897円(本体815円+税)
- 発売日
- 2014年06月03日
- 判型
- A4変
- JAN
- 4910209520642
- 雑誌コード
- 20952-06/09
1923年に創刊し80年以上の実績と信頼を誇る。毎週世界のありとあらゆる情報を高度に網羅・凝縮して 世界2,200万人の読者 に送り続ける世界最大の英文週刊ニュース誌。























今号のCoverStoryは「シリア:勝者はいるのか?」
シリアで反政府運動が勃発しておよそ3年が過ぎた。
現在アサド政権側は完全に勢いを取り戻し、各地で容赦ない空爆を続け、反体制派を追い込んでいる。
かつては革命派の拠点であった西部の都市ホムスでも、数千人の死者を出し、街は完全に崩壊した。
5月7日、反体制派は街からの安全な脱出を条件に、政府側の要求をのみ停戦に合意した。アサド政権は、この
合意をきっかけに、各地に広がった争いは停戦へと向かうと自画自賛するが、ホムス在住の40 代女性の意見
は違う。「これは平和とは呼べない。これから平和になるとも思えないし、さらなる崩壊の予感さえする」。
アサド政権は多方面からの支援を受けている。レバノンを拠点に活動するシーア派の武装組織ヒズボラは、
多数の兵士を政権側に送っている。イランの一部組織は資金援助をし、ロシア製の武器を手に入れている。首都ダマスカスから沿岸にかけての地域は、事実上政府の支配下におかれた。
こうした状況下にも関わらず、シリアでは6月3日に大統領選挙を予定している。数百万人の国民が住む家を追われており、正当な選挙が行われるはずもなく、当然西側諸国は、この選挙を認めていない。
反体制派は完全に疲弊している。形勢逆転に向けて、西側に武器の供与を強く要求しているが、反体制派の内部も分裂しており、現在のところ積極的な支援の約束は得られていない。
東部シリアでは、アルカイダ関連の外国人部隊や過激派が勢力を伸ばしており、イスラム国家の樹立を目指している。これを口実に政府軍は、テロ撲滅と称して、市民に対して無差別な空爆を続けている。
「我々は苦渋の選択を強いられている」と元シリア大使のライアン・クロッカーは、米外交問題評議会で発言した。「アサド政権も最悪だが、反体制派の一部はもっと酷い」。