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[BOOKデータベースより]
二人はほうき星のしっぽにしっかりつかまりました。ほうき星は青白い光を一つフウとはいていいました。「さあ、発つぞ。ギイギイギイフウ。ギイギイフウ。」実にほうき星は空のくじらです。弱い星はあちこち逃げまわりました。二つの青い星がかなでるきよらかな銀笛の音色。
[日販商品データベースより]天の川の西に見えるふたつの青い星、ふたごのチュンセ童子とポウセ童子。ある晩、ふたりは空の乱暴者・ほうき星にだまされて、深い海の底へ…。ふたごのお星様がかなでる清らかな銀笛の音色。
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そらの星めぐりの歌にあわせて、夜は一晩じゅう銀笛(ぎんてき)を吹く双子のお星様がおりました。名は、チュンセ童子とポウセ童子。天の川の西の岸にある、水晶でできた二つのお宮にめいめいに住む、青いお星様でした。ある晩、乱暴者のほうき星がやってきて、「おい、双子の青星。一寸(ちょっと)旅に出よう。」下界で雨がザアッザアッと降っているこんな夜は、一晩中まじめに銀笛を吹くことなんかない。そらの王様だって双子の青星を旅させてやってくれと言っていたと、お星様たちを連れだします。しかしほうき星は、お宮から遠くはなれた場所まで来るとガラリと態度を変え、二人を振り落としてしまいます。双子のお星様は、互いの肘をしっかりつかみ、虚空をまっしぐらに落ちました。矢のように落ち込んだところは海の底。赤いひとでや鯨におどされていると、海蛇がやってきて、海蛇の王様のもとへ二人を案内します・・・。宮沢賢治が22歳(1918年)の頃、弟妹に読み聞かせした、童話です。童話制作をはじめた最初期の作品。なんと約100年前に書かれたお話なのです。松永禎郎さんが描く絵は、チュンセ童子とポウセ童子の無垢で清らかなたたずまいや、ダイナミックな鯨の姿、空と海にひろがる青など、絵本で宮沢賢治を読むすばらしさを存分に表現してくれています。しかしやはりいちばんの見どころは、読み上げたときの「ことばの気高さ」でしょう。圧倒的といってもいいほどの日本語に心をうたれます。しずかに心をこめて物語を語っていると、子どもたちはすっかり聞き入っています。ちょっと古風な言い回しや、知らない言葉も出てきているはずなのですが、世界観まるごと子どもは受け取るのでしょうか。お子さんと一緒に、大人の方も、絵本で心を洗われるようなひとときをあじわってください。
(絵本ナビライター 大和田佳世)
娘の通信教育の問題の中にこの物語が引用されていました。
宮沢賢治っぽいなあと思いながら読んでいましたが、まさに宮沢賢治の
本でした。私ってすごい・・と一瞬思いかけましたが、いやいやすごいのは
宮沢賢治なのだなあと思いました。きっと誰もが「宮沢賢治っぽい」と
すぐにわかるだろうから。擬音が、よく耳にするようなものではなくて
独特なのに、美しく耳に響いてきます。透明な感じがします。
松永さんの挿絵もそれにぴったりで、なおかつかわいらしいので、娘も
にこにこしながら聴いていました(娘は自分自身でひとりでも読んで
いますが、私が一緒に読みたいのでいつでもつきあってもらっています)。
チュンセ童子もポウセ童子も優しいなあって思いました。ほうき星に
ひどいことをされたのにね。
この本を読んで何日か後に、娘がおほしさまが出てくる夢を見た、という
ので「なになに?ほうき星?」「違うよお(笑)チュンセ童子とポウセ
童子みたいなの」という、ふたりにしかわからない会話ができて
ちょっと楽しかったです。(ぽこさんママさん 40代・長野県 女の子7歳)
【情報提供・絵本ナビ】