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ユーザーレビュー (1件、平均スコア:5)
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Tucker
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チラリズム
松尾芭蕉は
「言ひおほせて何かある」
と言っている。
要するに「チラリズム」
ただ、俳句で「怪奇」や「恐怖」を表現した場合、短いだけに、かえって想像が掻き立てられてしまう。
本書では、そんな怖い俳句を紹介している。
その怖さの種類にも
「幽霊画を見たり、怪談話を聞いているような怖さ」
「作者自身、もしくは作者がおかれている状況が怖い」
「作者が体験したことが怖い」
といったものがある。
「幽霊画を見たり、怪談話を聞いているような怖さ」は比較的、分かりやすい。
稲づまやかほ(顔)のところが薄(すすき)の穂 松尾芭蕉
骸骨たちが能を舞う絵に感じ入っての句。
骸骨の幽霊たちが踊り狂うさまを偶然、見てしまったかのよう。
狐火や髑髏に雨のたまる夜に 与謝蕪村
怖い句ではあるが、同時に絵になる感じがする。
百物語果てて点せば不思議な空席 内藤吐天
さきほどまで百物語をしていたメンバーの一人こそ実は死者そのものだったのか・・・。
水を、水を 水の中より手がそよぎ 坂戸淳夫
水の中からのびてくる手は「助け」を求めているのか、「仲間」を増やそうとしているのか・・・。
「作者自身、もしくは作者がおかれている状況が怖い」という句(自由律詩が多い)は紹介されている数は少ないものの、かなりゾッとするものがある。
ホントニ死ヌトキハデンワヲカケマセン 津田清子
文句なしで怖い・・・。
本書の中で一番、怖かったのが「作者が体験したことが怖い」という句。
戦争が廊下の奥に立つてゐた 渡邊白泉
廊下の奥に立っていた「戦争」は人型で、ずんぐりむっくりの体型、全身真っ黒、顔は大きな口だけの異形の者(推測)
「冷酷無比」ではあるものの、「邪気」はない気がする。
結局、一番怖いのは「この世ならぬ者」ではなく、「生きている人間」なのだろう。
[BOOKデータベースより]
世界最短の詩文学・俳句は同時に世界最恐の文芸形式でもあります。日常を侵犯・異化するなにか、未知なるものとの遭遇、人間性そのもの…作品の中心にある怖さはそれぞれですが、どれも短いがゆえに言葉が心の深く暗い部分にまで響きます。一句二句、暗唱して秘められた世界に浸ってみてください。不思議なことに、そこはかとない恐怖がやがてある種の感動へと変わるはずです。数々のホラー小説を手がけ、また俳人でもある著者が、芭蕉から現代までたどった傑作アンソロジー。
第1章 芭蕉から子規まで
[日販商品データベースより]第2章 虚子からホトトギス系、人間探求派まで
第3章 戦前新興俳句系
第4章 実存観念系とその周辺(伝統俳句、文人俳句を含む)
第5章 戦後前衛俳句系
第6章 女流俳句
第7章 自由律と現代川柳
第8章 昭和生まれの俳人(戦前)
第9章 昭和生まれの俳人(戦後)
俳句の怖さは、その決定的な短さに由来する。短いがゆえに、言葉が心の深く暗い部分にまで響く。数々のホラー小説を手がけ、また俳人でもある著者が、芭蕉から現代まで「怖い俳句」をたどった傑作アンソロジー。