[BOOKデータベースより]
玉緒が就職のために村を発つ前日、父の発案で撮った家族写真。半年後、帰郷した彼女は写真館に飾られた写真を前に「遅くなってごめんなさい」と呟く(「家族写真」)。断食で衰弱したガンディーの口から漏れた言葉は、幼き頃に別れた息子の名前だった(「わが胸のマハトマ」)ほか、美しく華麗な短篇七本に加え、文庫版「あとがき」を収録。
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「3 SPECIAL BOOKS」レビューコメント
【その他】 ここ最近の私の読書上の事件といえば、遅まきながら辻原登を知ったことです。今までこれといった理由もなく読まずにきてしまったのですが、今年、仕事で必要があってこの『家族写真』を読んで、あまりの面白さに鼻血が出そうになりました。収められたどの短編も、一見なんということのない日常の情景を淡々と描写しているようでいて、突然ひやりとするような謎が素知らぬ顔ではさみこまれます。そしてその謎が解かれることは最後までない。静謐な見かけとは裏腹に、読後感は謎ときを欠いたミステリー、あるいはホラー。つまりは私たちが生きている現実そのものではないかと思うのです。
ここ最近の私の読書上の事件といえば、遅まきながら辻原登を知ったことです。今までこれといった理由もなく読まずにきてしまったのですが、今年、仕事で必要があってこの『家族写真』を読んで、あまりの面白さに鼻血が出そうになりました。収められたどの短編も、一見なんということのない日常の情景を淡々と描写しているようでいて、突然ひやりとするような謎が素知らぬ顔ではさみこまれます。そしてその謎が解かれることは最後までない。静謐な見かけとは裏腹に、読後感は謎ときを欠いたミステリー、あるいはホラー。つまりは私たちが生きている現実そのものではないかと思うのです。
岸本佐知子/作家 翻訳家
3 SPECIAL BOOKS掲載日:2012/12/27
【情報提供・3 SPECIAL BOOKS】