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[BOOKデータベースより]
研究課題と分析フレームワーク
[日販商品データベースより]組織の自律化におけるマネジメント・コントロールの役割―自己組織化の概念からの考察
企業間関係における企業の自律性と管理会計
研究開発組織とマネジメント・コントロール・システム
フランチャイズ組織のマネジメント・コントロール
ミクロ・マクロ・ループと利益ポテンシャル―トヨタ的な場のマネジメントとその評価
自律的行動のための原価企画システム
自律的組織における予算管理システム
自律的組織の情報システム
組織文化と管理会計の相互作用―村田製作所グループの事例研究
経営哲学のもとでのマネジメント・コントロール・システムの再設計
組織文化と管理会計システム―(株)村田製作所におけるサーベイ・データを中心に
村田製作所のマトリックス組織と管理会計
結びにかえて―外国文献にみる自律的組織の検討
本書の基となった研究は、1980年代後半から1990年代にかけて日本的管理会計なるものが世界から注目されたことがきっかけとなっている。その後の日本経済の不振もあって、日本的経営や日本的管理会計に対する欧米諸国の関心は失せてしまった感があるが、日本的経営システムには現代のような多様で不確実な世界において必要とされる英知が組み込まれている。
伝統的管理会計は、20世紀における米国企業の国際競争力の向上と意地に大きな役割を果たしてきた。しかし、国際競争力の衰退が顕著となった1980年代の米国では原価計算や管理会計による財務的管理手法が激しく批判されるようになった。そのような状況の中で、管理会計研究者たちは、企業環境の激変により旧式の管理会計が役に立たなくなったという前提に立って、新しい時代に相応しい管理会計技法が求められていると主張し、ABC/ABM、BSCなど、戦略的管理会計と呼ばれる革新的技法を提唱してきた。日本的管理会計として注目されるようになった原価企画やアメーバ経営なども、目標原価計算やミニ・プロフィットセンターという観点からの研究、つまり、技法的側面に焦点を当てた研究が行われてきた。しかし、技法として見れば、日本的管理会計は単純なものである。注目すべきは、そのような技法それ自体ではなく、そのような技法を組み込んだ日本的経営システムである。
あらためて当時を回顧するなら、原価企画など日本的管理会計が注目されたときに、欧米の企業経営者やマネジメント・コントロール・システムの研究者が注目したのは、それが市場志向のマネジメントを促進し、また、組織行動に戦略的方向性を与えているということであった。原価計算や管理会計システムの利用の仕方や機能のさせ方が米国とは異なっているという点が注目されたのである。
本書は、日本会計研究学会が2005年度に設置した特別委員会「企業組織と管理会計の研究」の成果である。今後も引き続いて各メンバーから研究成果が発表されるであろうが、特別委員会としては本書が最終刊行物となる。本委員会は、日本的管理会計は米国で誕生・確立した伝統的管理会計とは異なる経営環境、企業組織のもとで形成されてきたという事実に着目して研究を行ってきた。今あらためて思うのは、日本的管理会計は、企業経営者の意思決定のための情報システムであるというよりも、企業組織を良い方向に向けて進化させるための経営システムであるということである。