- わたしを離さないで
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ハヤカワepi文庫 epi 51
Never let me go.- 価格
- 1,540円(本体1,400円+税)
- 発行年月
- 2008年08月
- 判型
- 文庫
- ISBN
- 9784151200519
[BOOKデータベースより]
優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設ヘールシャムの親友トミーやルースも提供者だった。キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度…。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく―全読書人の魂を揺さぶる、ブッカー賞作家の新たなる代表作。
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ユーザーレビュー (8件、平均スコア:5)
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「おすすめSF作品」レビューコメント
遺伝子研究が日々進歩していく現代社会、その倫理を考える基になりえる作品です。人間がなぜ生きていくのか、なぜ死んでいくのか、静かに考える時間を与えてくれます。(ズッカ/女性/60歳以上)
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「クリスマスに贈りたい本 2013」レビューコメント
誰かに奉仕するために存在することを運命づけられた子どもたち。彼らが人並みであることの証明は、犠牲となるべき彼らへのかすかな罪悪感を消すための人間の免罪符なのか。成長した彼らは揺らぎ抗い、そして自分の役割を受け入れそれを果たす。現在の科学の進歩を考えればこの近未来小説も実現可能なのかもしれないが、一方の犠牲と奉仕のもとに他方が救われ成立している社会はすでにある。奉仕するだけの強さも気高さもない者は、せめて救われるに足るように在るしかない。いや、もっと身近に、日常の営みの中で、人は見返られることなく孤独にただ誰かを生かすための存在になり得るのかもしれない。カズオイシグロの抑制の利いた語りは、時に静謐さを感じさせる。クリスマス、ほんの少しそんなことを感じる時間があってもいい。(Ronron/女性/50代)
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「夏の文庫100冊 2013」レビューコメント
寄宿舎生活を送るイギリスの子供達の物語かと思いきや、読み始めから「何?」「どういうこと?」・・と疑問を持ちつつストーリーは進んでゆく。最後まで淡々とした語り口調で綴られているのに、読み手の心はものすごく揺さぶられた。(モッチャモ/女性/50代)
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「3 SPECIAL BOOKS」レビューコメント
【癒しの1冊】 英語で読むとよりこの作品の持つ良さが出ると思う。時代も国も職業も違うある人の日常を描いた作品だけど、読後は何故かなつかしい気分になり、子供の頃を思い出したり、遠くに住む親戚に久しぶりに会いたくなった。
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「3 SPECIAL BOOKS」レビューコメント
自分の悩みとかなんてちっぽけなんでしょう、て気づける本。
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「3 SPECIAL BOOKS」レビューコメント
数年前のキノベス1位に選ばれた本書。カズオイシグロは日本人ではあるが、英国をホームタウンにイギリス文学界では数々の受賞歴のある重鎮的作家です。“ぺージをめくるごとに露わになる驚愕の真実”にページをめくるのが罪に感じられていくのです。静謐で美しい文章の中に残酷な運命が描かれていくコントラスト。徐々に明かされる驚愕な悲しい真実。ミステリーに分類されているが一級品の文芸作品だと思う。読んでいてこんなに心に痛みを感じたことはなかった(ネタばれになるので詳しくは書きませんが・・)珠玉はラスト1ページ。残酷さを凌駕する主人公の強さと命の重みに読者は爽やかに癒されて行く。読書でこんな感情の大きな起伏を経験したことは先にも後にもこの1冊だけ。
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「3 SPECIAL BOOKS」レビューコメント
思い出すだけでゾクゾクします。読書して細胞が震えるという感覚を初体験しましたね。浮遊感あるファンタジックな設定であるのにやたらとリアルに感じられ、淡々としていて奇妙。イギリスのへールシャムという施設で生まれ育った三人の少年少女を軸に物語は進むわけですが、冒頭からずっと妙な違和感が漂っているんです。自分たちがおかれている、乱暴で理不尽とも言える世界に抗わない、大きな感情を表さない。それがわたしたち読み手の不安感をあおるんです。読んだ後は、感動と絶望とが入り交じってしばらく放心状態になりました。この巨大な力に圧倒されて、自分が小説を書き始めるきっかけにもなりました。今でもわたしの一番好きな小説です
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sige
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読み進むうちに衝撃が体を走る
介護人:キャシー・Hの語りが、静かに、淡々と続く。あわてず、急がず、じわじわと物語が進んでいくにつれ、書かれている内容の凄さに心が揺さぶられてくる。
“介護人”といえば、病気や障害を持った患者の世話をする職業である事は分かるのだが、ここに入院している者を“患者”とは書かずに“提供者”という表現をしていることに、最初のページから引っかかってしまった。海外の作品を翻訳したものであるから、そのためかと思い辞書などをひっくり返したが分からないまま読んだ。
子ども時代の施設のことが出てきて何の施設かは分からないが、読み進むうちに何となく厭な予感がしてくる。そんな疑問は後半で明らかになり、同時にこの物語の題材に衝撃を受けてしまった。
主人公をはじめ施設の子ども達の立場に自分が立って見た時、いたたまれなくなる。さらに、施設での先生である“保護官”と呼ばれる人々の心の中も想像すると辛い物がある。そのような内容の物語を、淡々と静かに描いたこの作家の凄さ。読み終わって表紙のカセットテープの絵を見るとジーンとしてくる。
10年ぶりに来日した往年の名作家カズオ・イシグロ。その代表作の一つであり、イギリスブッカー賞の2005年度最終候補にまで残った名作。
思い出すだけでゾクゾクします。読書して細胞が震えるという感覚を初体験しましたね。浮遊感あるファンタジックな設定であるのにやたらとリアルに感じられ、淡々としていて奇妙。イギリスのへールシャムという施設で生まれ育った三人の少年少女を軸に物語は進むわけですが、冒頭からずっと妙な違和感が漂っているんです。自分たちがおかれている、乱暴で理不尽とも言える世界に抗わない、大きな感情を表さない。それがわたしたち読み手の不安感をあおるんです。読んだ後は、感動と絶望とが入り交じってしばらく放心状態になりました。この巨大な力に圧倒されて、自分が小説を書き始めるきっかけにもなりました。今でもわたしの一番好きな小説です
中島さなえ/作家
3 SPECIAL BOOKS掲載日:2012/09/27
【情報提供・3 SPECIAL BOOKS】