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[BOOKデータベースより]
フロイトが自らの「ドッペルゲンガー」と呼んだ作家シュニッツラー。深層心理に興味を持ち、性本能をテーマにした作品を世に送り出した作家の作品世界は、また作家自身の生き方を反映したものであった。「ヴィクトリア時代」として束ねあげた西洋ブルジョワ社会の歴史を、世紀転換期ウィーンで活躍したこの小説家・劇作家が遺した膨大な『日記』の解読を通して、中流階級の「伝記」として描き出す。大量の資料を引用しつつ、両義的な側面をもつ生身の人間の姿を浮彫りにし、この「シュニッツラーの世紀」が、偽善に満ちた堅苦しい時代という従来の神話的なイメージに収まらないことを明らかにする。「ヴィクトリア時代」は、さまざまな感情に関わる烈しい矛盾を抱えていた点で現代と通底すると同時に、そのまばゆい豊かさによって現代を凌駕する。精神分析的手法を駆使して複眼的に歴史を分析し、巧みな叙述で読者に「読む悦び」を与える本書は、歴史の描き方をめぐる碩学の到達点を示す労作。
第1部 基礎確認(ブルジョワジー、単数か複数か;ほろ苦きわが家)
[日販商品データベースより]第2部 衝動と防衛(エロス―悦楽と症候;攻撃のアリバイ;不安の根拠)
第3部 ヴィクトリア時代の精神(神の死、神の甦り;労働という厄介な福音;趣味の問題;自分だけの部屋)
19世紀ウィーンの小説家・劇作家の日記の解読を通して、ブルジョア文化の様々な側面を分析。厳格で堅苦しい19世紀という神話化された西欧文化史の通念を大胆な手法で覆し、新しい時代像を描き出す刺激的力作。