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[BOOKデータベースより]
外傷後ストレス障害(PTSD)は、おそらく他のどの精神障害よりも、心理的ならびに生理的反応の密接な相互依存性を示している。本書は、生物学的視点と精神分析学的視点の双方を統合して取りあげた画期的な著作であり、その内容は現在も臨床家や研究者に多大な影響を与えている。トラウマ治療の根幹として、トラウマ体験に焦点をあてた治療が真に効果があるのか、ではPTSDの精神療法においてトラウマ体験をどのように扱うべきなのか、社会的支援のあり方とは何か、暴力の世代間伝達としての家族内トラウマ、さらに、ナチス強制収容所の生存者研究の結果が例としてあげられ、極限状況の中で生き残るための集団の役割が詳しく解説される。
第1章 衝撃的な体験がもたらす心理的影響
第2章 分離の叫びとトラウマ反応―愛着と分離の生物心理学における問題点
第3章 トラウマ反応の精神生物学―過覚醒、狭窄、トラウマへの嗜癖
第4章 虐待が子どもの思考に及ぼす影響に関する理論的発展
第5章 境界性人格障害における先行するトラウマ
第6章 家族内トラウマ―暴力の世代間伝達
第7章 トラウマ反応の始まりと解消における集団の役割
第8章 健忘、解離、抑圧されたものの回帰
第9章 「描画療法」によるトラウマ記憶の想起と統合
第10章 犠牲者から生存者へ―ストレス管理法による学習された無力感の治療