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[BOOKデータベースより]
人里はなれた山村で、年老いた父親の看病をしながら暮らすひとりの男。ある日、女性が訪れて自分の叔父が殺されたことを告げる。探偵をしていた頃の同僚だった。あいつなら野垂れ死にして当然なのだが…。数日後、男は複雑な気持ちを抱えながら、山を降り東京へ向かう。油で海がひかる京浜工業地帯。町工場と歓楽街が近接し、かつては映画の都だった大田区蒲田。灰色にかすむ空の下、男は友が残した痕跡を必死に追った。そして浮かび上がる、いくつかの不可解な事実。倒産直前の印刷会社の乗っ取りと、それにからむ血染めの応酬。忽然と消えた9億円の土地証書の行方と、その裏にある優しい愛をめぐる悲劇。すべての真相を知った男は、この馬鹿げた事件の幕を、自分のやり方で降ろそうと決意する―。