[BOOKデータベースより]
人生の円熟期に入ってから奇跡のように次々と発表された人生彷徨の回想記。かけがえのない出会い、避けられぬ別れが心を打つ。
第1部 イタリアの友人(遠い霧の匂い;マリア・ボットーニの長い旅;夜の会話 ほか)
第2部 文学と人生(プロローグ(『ユルスナールの靴』);死んだ子供の肖像;しげちゃんの昇天 ほか)
第3部 ペッピーノへの手紙ほか(芦屋のころ;となり町の山車のように;大洗濯の日 ほか)
女性作家名随筆のアンソロジー、第九巻は、選者・川上弘美さんが以前から愛読していた須賀敦子さんの作品です。代表的随筆集である『ミラノ 霧の風景』『コルシア書店の仲間たち』『ヴェネツィアの宿』『トリエステの坂道』『ユルスナールの靴』『遠い朝の本たち』『時のかけらたち』から数篇ずつと、単行本未収録エッセイ、夫ペッピーノへの愛と茶目っ気があふれる書簡(原文イタリア語)で構成します。。「理解したい。理解するにはどうしたらいいのか」――異質なもの、容易には近づき得ないものへの好奇心と信頼を生涯失わない姿勢に、衰えぬ須賀人気の秘密がある気がします。