- 上弦の月を喰べる獅子 下
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- 価格
- 1,034円(本体940円+税)
- 発行年月
- 2011年03月
- 判型
- 文庫
- ISBN
- 9784150310271
[BOOKデータベースより]
人は、幸福せになれるのですか?野に咲く花は幸福せであろうか?―螺旋蒐集家と岩手の詩人、ふたつの孤独な魂から成る人間、アシュヴィンは、いくつもの問を胸に、果てしなく高い山を登りつづけていた。長い修羅の旅を経て、彼がその答にたどりついたとき、世界を驚嘆させるなにかが起きる…進化とは?宇宙とは?人間とは?究極の問に対する答を破天荒な構成と筆致で描きあげた、これは、天についての物語である。
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sige
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はたして山の頂上は
男が海辺で意識を取り戻し目の前にそそり立つ急傾斜の巨大な山を登って頂上を目指していく話だが、読み進むうち、この山は“進化”の道筋を表すことに気付く。
つまり一番低いところは太古の海で、生命が誕生して次第に進化し“4本足を持って歩く魚類”(現在のシーラカンス)が海から這い上がってくるところからスタートし、山に登るにつれ植物はシダ植物から裸子、被子と進化し、動物も両生類、爬虫類、鳥類と進化しながら人類へと変わる。
“一番下”に生活していたアルハマード、ウルヴァシー老夫婦とその子ダモン、シェラ兄妹。なぜこの者達だけがここで生活しているのかという謎、アシュヴィンと名づけられた自分と妻となったシェラは進化の旅に出るが、ダモンが常に行く手をさえぎる。
兄妹相姦を平気で犯してしまうこのダモンの位置づけは“進化を妨げる要素”であろう。
ダモンという名は地獄から蘇った悪魔“デーモン”をもじったものか。
章のすき間に挿入される“螺旋問答”“螺旋論考”は哲学とも言うべき仏教の教義の解説のようなもの。作品の解釈に役に立つ、ようで難しくて歯が立たないことのほうが多い。
月もなぜ“上弦の月”なのかも“うっすら”わかった。ような気がする。
最後は大団円というか予想される結末で終わる。1Q84を読んだ後なので“さなぎ”が出てきたときには笑ったが、物語の筋としては大変面白い作品だ。が、私にはやはり仏教の教義とか哲学的なことはにがてだ。冲方丁は理解できたのだろうが。
一旦ペースに乗ってしまうと一気に読める。章ごとの凝ったタイトルにとらわれないで読むことが大事。あれは、作品の耕造を作るために作っただけのタイトルで物語の筋とはまったく関係ないと思ってよい。