- パイロットフィッシュ
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- 価格
- 726円(本体660円+税)
- 発行年月
- 2004年03月
- 判型
- 文庫
- ISBN
- 9784043740017
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ユーザーレビュー (2件、平均スコア:5)
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sige
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優しさに満ち溢れ
作中で川上由紀子が主人公山崎隆二に宛てて書いた手紙の「フワフワとしたあやふやな優しさ」そのもののような筆致の文章。読んでいるとこの作家の性格そのものなのかと思わせる。心が癒されるような感じだ。
サスペンスやミステリーのような汚い言葉もなく、醜い争いもなく、殺伐とした出来事もない。作品としてメリハリがないように思われるが読後は心がすっきりとするような作品だ。死の悲しみに女性たちの優しさが絡み合い何とも切なさの漂う、そしてグッと読者をひきつける作品となっている。
読後、散策で千駄ヶ谷の“鳩の森八幡神社”に行った時のことを思い出した。明るい日差しが境内に木漏れ、その中で隣の幼稚園児たちが先生方とお勉強をしていた。その園児たちの明るい笑顔を思い出した。
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nana
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とても良かった
『人は一度巡り合った人と二度と別れることはできない。
なぜなら人間には記憶という能力があり、
そして否が応にも記憶と共に現在を生きているからである。』
19年ぶりに、以前の恋人から電話が掛かってくる。
そこから主人公の取り留めの無い回想や、その恋人との再会、
そして主人公の哲学的な思考が綴られます。
文章自体は、過去と現在を交差しながら淡々と進んでいきます。
でも悲しい。
最後の方は、ずっと胸をつかまれているような気分で、
悲しかった。
パイロットフィッシュとは、水槽で魚を飼うにあたって水を綺麗にする為に、
バクテリア等の生態系を作る為だけに水槽に入れられ、
その後殺されてしまう事が多い、悲しい魚。
いつだって「選択」が出来ないダメな主人公に、
いつだって鮮やかに、順序良く道を提示した彼女。
でも二人に起こった共通の悲しい出来事にそれぞれが気を取られた
その一瞬に、お互いが過ちを犯してしまう。
19年後、主人公は当時彼女が見つけてくれた就職先で今も働いている。
サヨナラの為の再会。
「傘の自由化は成功しましたか?」
この言葉に号泣しました。
[BOOKデータベースより]
人は、一度巡りあった人と二度と別れることはできない―。午前二時、アダルト雑誌の編集部に勤める山崎のもとにかかってきた一本の電話。受話器の向こうから聞こえてきたのは、十九年ぶりに聞く由希子の声だった…。記憶の湖の底から浮かび上がる彼女との日々、世話になったバーのマスターやかつての上司だった編集長の沢井、同僚らの印象的な姿、言葉。現在と過去を交錯させながら、出会いと別れのせつなさと、人間が生み出す感情の永遠を、透明感あふれる文体で繊細に綴った、至高のロングセラー青春小説。吉川英治文学新人賞受賞作。
[日販商品データベースより]かつての恋人から19年ぶりにかかってきた一本の電話。アダルト雑誌の編集長を務める山崎がこれまでに出会い、印象的な言葉を残して去っていった人々を追想しながら、優しさの限りない力を描いた青春小説。