- AI時代の最善手
-
- 価格
- 1,100円(本体1,000円+税)
- 発行年月
- 2025年10月
- 判型
- 新書
- ISBN
- 9784569859996
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[BOOKデータベースより]
AI時代のプロ棋士が語る人間の強さ。AIが最善と判断する「勝率60%の手」でも、人間にとってはその後の打ち回しが難しい場合がある。たとえAIにとっては第3候補の「勝率55%の手」だったとしても、自分の得意な展開に持ち込める手を選んだほうが、勝ちにつながることも多い。AIに「依存」するのではなく、お互いを「補完」し合う関係であることが望ましい。AIを活用し、上回っていく姿こそが、人間の本当の強さなのだ。
第1章 囲碁とは(囲碁は意外と身近な存在?;囲碁の歴史 ほか)
[日販商品データベースより]第2章 囲碁に必要な力(数字が好きな子ども時代;囲碁を通して身につけられる能力 ほか)
第3章 「AI超え」とは(コンピューター囲碁の歴史;アルファ碁の登場 ほか)
第4章 思考を支える力(自分の力を最大限に引き出すためにやってみたこと)(勝利が遠かった日々;「思い込み」というブレーキが外れたきっかけ ほか)
第5章 今後の囲碁界を考える(国内と世界における勢力図の変遷;日本と世界の差 ほか)
アルベルト・アインシュタイン、スティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツ──知の巨人たちが愛し、ノーベル化学賞受賞者デミス・ハサビスがAI革命の出発点と語った「囲碁」。文化からマインドスポーツへ。今、世界が再発見する盤上の宇宙。
囲碁棋士・一力遼が自身の歩みを振り返りつつ、現代囲碁とAIの関係、そして勝負の本質について綴った一冊。2024年、囲碁界最高峰の国際大会である応氏杯において、日本人として27年ぶりの優勝を成し遂げた著者は、長年閉ざされていた「世界一」の扉を自らの手で開いた。日本囲碁界が国際舞台で苦戦を続ける中での快挙は、時代を塗り替えるものであった。
本書は、その歴史的勝利に至るまでの軌跡を、冷静かつ率直な筆致で描いている。5歳で囲碁に出会い、地元の教室で腕を磨きながらプロを志すまでの過程、数多くの試練や葛藤、そして院生時代の厳しい競争が語られる。特に印象的なのは、負けて悔し涙を流しながらもすぐに前を向く幼少期のエピソードであり、そこには「他の子とは違う」と評された芯の強さが垣間見える。
囲碁界は今、AIの台頭によって劇的な変化を遂げている。従来の常識が次々と塗り替えられる中、著者はAIの知見を受け入れつつも、自らの感覚を信じて「人間としての最善手」を模索してきた。その姿勢こそが、本書のタイトルに込められた意味であり、現代の棋士が直面する新たな挑戦でもある。
勝負とは、ただ技術を競う場ではなく、自分自身と向き合い続ける場でもある。挫折と成長を繰り返しながら築き上げた信念が、一手に表れる〓〓本書には、その覚悟と進化の過程が余すところなく記されている。囲碁ファンのみならず、AI時代における人間の可能性を考える全ての読者にとって、深い示唆を与える一冊である。