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[BOOKデータベースより]
貧しさ故にいじめられ、低学年で小学校に通わなくなり、読み書きができないまま社会に出た西畑保さん。差別的な扱いを受け、言いしれぬ劣等感を抱いてきましたが、持ち前の明るさを捨てず、手に職をつけ、結婚して子育てをし、そして還暦を過ぎて夜間中学で読み書きを学び始めました。その理由は、最愛の妻にラブレターを書くためだったのです―。毎日新聞論説委員の著者が、西畑保さんに寄り添い、各メディアで取り上げられた実話を一冊のノンフィクションとして書きあげました。
第1章 学校なんて行くもんか
[日販商品データベースより]第2章 ニワトリの恩返し
第3章 兄ちゃんと見た海
第4章 電話が怖い
第5章 いやしのホルモン
第6章 巻き寿司の少女とその家族
第7章 ぼくでも結婚できるんや
第8章 一人前の人間になりたい
第9章 自分の名前が書けた
第10章 35年目のラブレター
第11章 皎ちゃん、きれいやで
第12章 新型コロナ流行下の卒業式
2025年3月7日 全国劇場公開される感動の実話が、一冊のノンフィクションに――。
2024年5月20日 毎日新聞1面コラム「余録」で取り上げられました。
今年(2024年)、米寿を迎えた西畑保さんは、奈良県に住んでいます。
和歌山県の山間で生まれ育った西畑さんは、小学2年生の途中から学校に通っていません。山間で高値で売れる木の皮を集めて貯めたお金だったのに、小学校で落とした財布は自分のものだと名乗り出たら泥棒扱いされたのです。貧しい暮らしの西畑さんが、そんなお金を持っているはずがないと、クラスメートも教師も彼を責めました。その一件があってから、西畑さんは学校に行くのをやめました。
中学校に通う年齢になって働きに出た西畑さんですが、その人生につきまとったのは、「読み書きができないこと」でした。
つとめた飲食店では、電話で受けた注文の内容をメモに記すことができず、職場の先輩からは「字も読めないやつ」と差別的な扱いをされました。
劣等感を抱き、結婚なんて夢のまた夢とあきらめていた西畑さんのもとに、お見合いの話が舞い込みます。読み書きができないことを隠して結婚した西畑さんでしたが、町内の回覧板にサインができず、妻の皎子(きょうこ)さんの知るところとなります。その事実を知った皎子さんは、西畑さんにこう声をかけました。
「ずっと、つらい思いをしてきたんやろな」
子どもも生まれ、孫も生まれ、還暦を過ぎた西畑さんの日常に、ある変化が訪れます。64歳になって、夜間中学に通うことに決めたのです。それは、読み書きのできない自分に長年連れ添ってくれた妻に、感謝の気持ちを伝えるラブレターを書くためでした――。
西畑さんの人生からは、たくさんのメッセージが受け取れます。「明るく、前向きに生きる」、「自分の人生を他人や環境のせいにしない」、そして「学ぶのに遅すぎるということはない」――。そんな西畑さんに毎日新聞論説委員である小倉孝保氏が寄り添い、これまで西畑さんが見てきた風景、抱えてきた思いを一冊の書籍にまとめました。それが『35年目のラブレター』です。
【映画化情報】
「35年目のラブレター」
2025年3月7日(金) 全国劇場公開
出演:笑福亭鶴瓶、原田知世、重岡大毅、上白石萌音 他 監督・脚本:塚本連平