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- 龍の袖
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徳間書店
藤原緋沙子
- 価格
- 1,870円(本体1,700円+税)
- 発行年月
- 2019年07月
- 判型
- B6
- ISBN
- 9784198648824
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[BOOKデータベースより]
北辰一刀流の千葉家で生まれ育った佐那は、十六歳の時、坂本龍馬と千葉道場で出会う。惹かれ合う二人を、時代の波が引き裂いた。そして三十九年後―。千葉灸治院で働く佐那のところへ板垣退助の紹介という男が現れる。「坂本龍馬先生と佐那さんは縁があるとお聞きしたので」すると、佐那は文箱から袷の袖を取り出して―。坂本龍馬を生涯想い続けた女、千葉佐那の人生。
[日販商品データベースより]三十年、この形見を手放せなかった。
坂本龍馬を生涯想い続けた女、
千葉佐那の人生。
北辰一刀流の千葉家で生まれ育った佐那は、
坂本龍馬と十六歳の時千葉道場で出会う。
しかし、惹かれ合う二人を時代の波が引き裂いた。
そして三十九年後――。
千葉灸治院で働く佐那のところへ
板垣退助の紹介という男が現れる。
「坂本龍馬先生と佐那さんは縁があると
お聞きしたので」
すると、佐那は文箱から袷の袖を取り出して――。
大政奉還後の日本の道筋を作った男、坂本龍馬。
その許婚として龍馬を待ち続けた女、千葉佐那。
運命に翻弄された二人の、
知られざる愛の物語。
===
「佐那殿、品川の海じゃ、綺麗じゃのう」
龍馬は品川の海を眺めながら両手を広げ、
大きく深呼吸をした。
「ほんとに……」
佐那も眼下の波打ち際から遠くの地平線まで
眺めて感歎の声を上げた。
佐那だって海を知らない訳じゃない。
何度も江戸湾の海は見てきている。
だが今日目の前に広がる海は、
太陽の光を受けてきらきらと輝いていて、
それがどこまでも続く光景は、前途は幸せに
満ちている、希望は無限に広がっていると、
佐那に囁いてくれているように思えた。
(本文より)