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[BOOKデータベースより]
来る日も来る日も、工場のラインで鉄板を曲げ続けるまり江。どうでもいい話題で盛り上がるパート達にも、煩わしい関係のママ友にも、怒りにも似た苛立ちを感じていた。そんなまり江の唯一の宝物は5歳の娘・咲季だけだ。この子を産んだことだけが、くだらない自分の人生の、たったひとつの功績に思える。夫は数ヵ月前、家を出て行った。理由はわからない。まり江は、咲季を寝かしつけた後、発泡酒を片手にアダルトサイトを閲覧する。自慰行為に耽る自分が、リビングの片隅に設置されたウェブカメラに映るように。この映像を、夫がどこかから見ているかもしれないと思いながら―。生々しい描写力で迫りくる、ひとりの主婦の膿んで爛れた日々。