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[BOOKデータベースより]
20世紀初頭、「私小説言説」は、私小説の出現とともにその姿を現し、文学においては以前の作品に遡及的に適用され、やがてあらゆるジャンルの言説の表現にその不可思議な力を及ぼし、ついには日本の近代言説の顕著な特徴をなすにまで至る。本書は、文学作品の精密な読解を重ね、この「語られた自己」が、日本の近代言説において析出したフィクション・歴史・伝統のシステムとその展開を描き出し、その意味を今に鋭く問うた日本近代論の力作である。
第1部 特権的シニフィアンとしての「小説」と「自己」(「小説」の位置―パラダイム転換と新しい文学言説;「自己」・キリスト教・言語―言文一致と「自己」への関心;「私小説」論議―真正性の問題)
第2部 「私小説」を読み直す(恋愛・性・自然―田山花袋の『蒲団』と自然主義;生を形づくる、過去を形づくる―志賀直哉の追憶の物語)
第3部 「自己」の痕跡(越境の軌跡―永井荷風の『〓東綺譚』における「真実」と「虚構」;近代性のアレゴリー―谷崎潤一郎の『痴人の愛』における告白とパロディー;語りの主体と「伝統」の創出―谷崎の小説と日本語論)